無自覚系お姫様は溺れるほどに愛され中

尾崎さんはハムちゃんたちが傷ひとつなく展示できることに感謝して深々と頭を下げ、なぜかその後にちょっとだけ身を寄せてこう言った。


「私があの日拾って差し上げた可愛いくまちゃんはロボットだったんですね。でも最近壊れてしまったって聞きました」


「えっ? あぁ、実はそうなんです」
 

持っていたソーサーとカップに力が入ってガチャガチャと音を立てた。


「このハムスターが可愛いって褒めてくださった時、そういえば紺野さんの声と違いましたもんね」


「男の子のくまさんなのでロボットも低めの声なんです」


答を探るように私の目を覗き込む。


「紺野さんのくまちゃん、ほんとにロボットですか? 実は普通におしゃべりすることができるんじゃないですか? こんなふうに」


尾崎さんは2体の人形を私の前に差し出した。


「あたしミキ。羽奈ちゃんはじめまして~」

「あたしはサヤカ。あれ、どした? ねぇ聞こえてる~?」


しゃ、しゃべった?



呆気に取られていると、尾崎さんが間に入ってくれた。


「提出物チェックが終わった後、展示棚の前を通ったらこの子たちに呼び止められてしまったんです。もしかしたら紺野さんのくまちゃんも同じなんじゃないですか?」


尾崎さんは苦笑いをして、ハムちゃんたちを愛おしそうに人差し指で撫でて見せた。