無自覚系お姫様は溺れるほどに愛され中

学校に到着しいつものように教室へ向かう途中で、落ち着きなく髪を触っている尾崎さんをみつけた。廊下に佇んで、少しそわそわしているみたい。


「尾崎さん、おはようございます。どうかされましたか?」


気になったから、思いきって声をかけてみた。


「紺野さんおはようございます。あのっ……私、あなたのことを待ってたんです」


顔を赤くしてうつむいた尾崎さんは、淡いブルーの紙袋の中からおもむろにあの双子ちゃんを取り出した。


碧葉君が助けてくれた作品は特に傷もなく無事みたい。ほっとしたと同時に、あの時の碧葉君の柔らかな表情が甦る。


「この作品のことでご相談が……少しだけ話せますか?」


快諾して、ふたりで歓談スペースに移動することになった。始業まで時間はあったから、ドリンクカウンターでハーブティーを選び彼女の元へ持っていった。


「レモングラスが好きなこと、知っててくださったんですか?」


しまった。生徒会の一員としてみんなのことを知っておきたいと、一人一人を観察する癖が仇になってしまった。


「ごめんなさい、気持ち悪いですよね」


「いえ、嬉しくて」


思わぬ言葉に動揺して、ソファからお尻が滑ってしまうところだった。