無自覚系お姫様は溺れるほどに愛され中

「羽奈はどんな字なの?」


「えっとね」  


今度は彼の手のひらに自分の名前を丁寧に書いた。


「綺麗な名前」


「ありがとう。手のひらってなんかくすぐったいね」


自分から言い出したくせにちょっと照れ臭い。リオ君も同じなのかな、顔が少し赤い。


「で、なんで俺を知ってほしかったかっていうと」


どきどきする。首を傾げるだけのなんでもない仕草に、たったの一言にいちいち心臓が跳ねる。


「独占欲なら、俺もずっと隠してきたからなんだ」


「ん? それだったら全然隠せてないよ?」


「は? マジ?」



だって婚約者の碧葉君に執着しすぎていたし、告白されたときも本気で飛びかかろうとしていたし、クラスのみんなには好きになるなとか諦めろとか恥ずかしげもなく言ってたもの。
露骨すぎて困ってたくらいなんだから。


でも、かっこいい男の子に変身してしまったリオ君の口からそう言われるとニュアンスが違って聞こえる。


あんなやつと結婚なんかするなと、別の国の王子様から求愛されているような気分になってしまう。実際は、ぬいぐるみがやきもちを焼いているだけなのに。


「碧葉の告白になんて返事するの?」 


「それは……」


何も答えられないでいると、潤んだ瞳が私の顔を覗き込んだ。