「リオ君どこにいるの? 迎えに来たよ、返事して?」
小声で呼び掛けただけなのに、もう泣きそう。
弱気になっちゃダメ。
碧葉君が入ってくるまでに絶対みつける。
きょろきょろしていると、奥の用具棚にさっき小佐田さんが持っていった箱が並んでいるのが見えた。
ちょうど5個。
きっとそれぞれのクラスのものだ。
迷わず端の箱を覗こうとしたら、中からすごい勢いで何かが飛び出てきた。
今のは何?
口を押さえて声を我慢したものの、代わりに思い切りしりもちをついた。
そんな間抜けな私を涼しい目で見下ろしているのはもしかして……噂のボレロ様?
ボレロ様はグレーというよりは銀色に近い毛並みのペルシャ猫で、美術教科担当の星崎先生の飼い猫。
学校に連れてくるという噂は耳にしていたけれど、ほんとだったなんて腰が抜けそう。
彼女はこっちに背中を向けていて、何か見えないものに猫パンチを繰り出しているようだった。
痛むおしりをさすりながら立ち上がってよくよく見てみると、ボレロ様の爪に何かがひっかかっていて、それはほとんどサンドバッグ状態に楕円を描いて激しく揺れていた。
「ボレロ様、落ち着いてください」
そっと近より、その物体を見極めようとした。
とにかくあの爪から外さないと。
誰かの展示物には違いないから、作品に傷をつけないためにも早く。
ボレロ様もさすがに飽きたのか、今度はそれを抱え込んでペロペロしだした。
「それ……尾崎さんの双子ハムちゃん!」
リオ君が可愛いと褒めていたピンクのほっぺたがペロペロされちゃってる!
あぁボレロ様ったらなんてことを!
でもどうしたらいいのかわからない。
おばあちゃんが昔飼っていた猫にちょっとひっかかれて以来動物が怖くなってしまった私は、それを初等部のときに笑われて可愛い生き物を怖がるのはおかしなことなんだと罪悪感さえ抱いた。
何か人として欠陥があるんだろうかと思い悩んだ幼少期のことまで思い出してしまった。
いや。そんなくだらないことを考えている場合じゃない。だってこのままではハムちゃんがとんでもない姿になっちゃう!
小声で呼び掛けただけなのに、もう泣きそう。
弱気になっちゃダメ。
碧葉君が入ってくるまでに絶対みつける。
きょろきょろしていると、奥の用具棚にさっき小佐田さんが持っていった箱が並んでいるのが見えた。
ちょうど5個。
きっとそれぞれのクラスのものだ。
迷わず端の箱を覗こうとしたら、中からすごい勢いで何かが飛び出てきた。
今のは何?
口を押さえて声を我慢したものの、代わりに思い切りしりもちをついた。
そんな間抜けな私を涼しい目で見下ろしているのはもしかして……噂のボレロ様?
ボレロ様はグレーというよりは銀色に近い毛並みのペルシャ猫で、美術教科担当の星崎先生の飼い猫。
学校に連れてくるという噂は耳にしていたけれど、ほんとだったなんて腰が抜けそう。
彼女はこっちに背中を向けていて、何か見えないものに猫パンチを繰り出しているようだった。
痛むおしりをさすりながら立ち上がってよくよく見てみると、ボレロ様の爪に何かがひっかかっていて、それはほとんどサンドバッグ状態に楕円を描いて激しく揺れていた。
「ボレロ様、落ち着いてください」
そっと近より、その物体を見極めようとした。
とにかくあの爪から外さないと。
誰かの展示物には違いないから、作品に傷をつけないためにも早く。
ボレロ様もさすがに飽きたのか、今度はそれを抱え込んでペロペロしだした。
「それ……尾崎さんの双子ハムちゃん!」
リオ君が可愛いと褒めていたピンクのほっぺたがペロペロされちゃってる!
あぁボレロ様ったらなんてことを!
でもどうしたらいいのかわからない。
おばあちゃんが昔飼っていた猫にちょっとひっかかれて以来動物が怖くなってしまった私は、それを初等部のときに笑われて可愛い生き物を怖がるのはおかしなことなんだと罪悪感さえ抱いた。
何か人として欠陥があるんだろうかと思い悩んだ幼少期のことまで思い出してしまった。
いや。そんなくだらないことを考えている場合じゃない。だってこのままではハムちゃんがとんでもない姿になっちゃう!



