無自覚系お姫様は溺れるほどに愛され中

「羽奈には好きなやついないの?」


「うん、たぶん」


ちょっとだけ頭の片隅にひっかかっている男の子がいるけど、記憶も定かじゃない幼い頃のことだし、どちらかというと笑っちゃうような苦い記憶だ。


だからそういうのとは違うと思うし、恋を知らなくても結婚生活は始められるものらしい。


「こいつに羽奈を任せられるとは思えないな」


「そんなことないよ」


「だって無理してるだろ?」


ストレートにそう言われたらドキドキした。


「誰かのためにはなりふり構わず行動できるのに自分のこととなると全然ダメじゃん」


コットン製の柔らかな腕で両頬を挟まれる。


「よし、じゃあこれからは俺がいつも一緒にいるから」


「それはダメだよ。だってリオ君はこの家から出たことないんだから。学園は私物持ち込み禁止だから見つかったら取り上げられちゃうし、失くしたらショックで倒れるかも」


「そんなに俺が大事?」 


「そんな言葉じゃ収まりきれないよ」


「そこは素直なんだ?」


慌てて捲し立てたらリオ君は嬉しそうに笑った。