私たちはとにかく走った。
角を曲がる。人混みを抜ける。信号を無視しかけて、ギリギリで止まる。
「ちょ、危ないでずよ……っ」
「うるさい、急いでるの!」
そして――
目の前に、大きなドームが見えた。
「……スターライトドーム」
間に合った。
「はぁ……っ、はぁ……っ」
隣の男が、膝に手をついて息を切らす。
「……ついた……」
「……はぁ、はぁ、ギリギリね」
私も息を切らしながら答える。流石にここまで本気で走り続けたのは体に毒だったな。ちゃんと体を休めないと。
そんなことを考えていた時だった。
「何やってたんだ!」
鋭い声が飛んできた。
振り向くと、スーツ姿の男がこちらに駆け寄ってくる。
「遅いじゃないか! 本番もうすぐだぞ!」
「す、すみません……っ!」
男は慌てて頭を下げる。
……本番?
その言葉に、違和感を覚える。
てか、このフードの男、さっきと声違くない??
「こちらの方が……助けてくれて……っ」
「え?」
スーツの男が、私を見る。そして、顔がサーっと青くなる。
ま、まさか私が『ひめ』だってバレた?私は慌てて目を逸らす。
スーツの男は、
「本当に、申し訳ありませんでした!」
と深々と頭を下げた。
「うちの瀬戸千隼が迷惑をおかけしました!!」
…ん?
今なんて言った??
「ああっ!佐藤さん!せっかく俺が正体バレないように頑張ったのに…」
「「え?」」
なんか、話が食い違っている気がする。と言うか…
「えっと、さっき瀬戸千隼って聞こえてきた気がしたんですけど」
その瞬間、ビクッと、スーツ姿の男の人──佐藤さん?
と、フードの方の男──瀬戸千隼さん?が同時に飛び上がる。
「え、何?お前、正体明かさずに助けてもらったの?」
「え?佐藤さんが絶対誰にもバレるなって言ったんじゃないですか」
2人でコソコソなんか話している。
でも、覚悟を決めたような顔をして瀬戸さんは口を開く。
「えっと……瀬戸千隼、です」
彼はそう言って、マスクとサングラスを外す。そこには、さっきまでの変人と同一人物とは思えないような綺麗な顔があった。私は、完全に固まった。
この顔…そして、瀬戸千隼ってたしか…
「Shadow×Lightの……瀬戸千隼!?」
男性アイドルには比較的興味がない方だが、流石にこの業界にいれば知っている。
『Shadow×Light』昨年、大規模な公開オーディションにより結成されたグループ。確か、メンバーは5人いたはず。その中でも瀬戸千隼といえば確か…
「クールな王子様キャラなはずじゃ…」
その瞬間、また2人ともビクッと飛び上がる。
「本当に申し訳ございません!!うちの瀬戸はイメージと違ってドジでアホでポンコツですが悪いやつではないんです!!」
佐藤さんがまた馬鹿でかい声で謝罪をしてくる。いや、辛辣だな。
続いて、隣でオロオロしていた瀬戸さんも慌てて頭を下げる。
「夢を壊してしまってすみません!」
…これはめんどくさいことになりそうだ。
角を曲がる。人混みを抜ける。信号を無視しかけて、ギリギリで止まる。
「ちょ、危ないでずよ……っ」
「うるさい、急いでるの!」
そして――
目の前に、大きなドームが見えた。
「……スターライトドーム」
間に合った。
「はぁ……っ、はぁ……っ」
隣の男が、膝に手をついて息を切らす。
「……ついた……」
「……はぁ、はぁ、ギリギリね」
私も息を切らしながら答える。流石にここまで本気で走り続けたのは体に毒だったな。ちゃんと体を休めないと。
そんなことを考えていた時だった。
「何やってたんだ!」
鋭い声が飛んできた。
振り向くと、スーツ姿の男がこちらに駆け寄ってくる。
「遅いじゃないか! 本番もうすぐだぞ!」
「す、すみません……っ!」
男は慌てて頭を下げる。
……本番?
その言葉に、違和感を覚える。
てか、このフードの男、さっきと声違くない??
「こちらの方が……助けてくれて……っ」
「え?」
スーツの男が、私を見る。そして、顔がサーっと青くなる。
ま、まさか私が『ひめ』だってバレた?私は慌てて目を逸らす。
スーツの男は、
「本当に、申し訳ありませんでした!」
と深々と頭を下げた。
「うちの瀬戸千隼が迷惑をおかけしました!!」
…ん?
今なんて言った??
「ああっ!佐藤さん!せっかく俺が正体バレないように頑張ったのに…」
「「え?」」
なんか、話が食い違っている気がする。と言うか…
「えっと、さっき瀬戸千隼って聞こえてきた気がしたんですけど」
その瞬間、ビクッと、スーツ姿の男の人──佐藤さん?
と、フードの方の男──瀬戸千隼さん?が同時に飛び上がる。
「え、何?お前、正体明かさずに助けてもらったの?」
「え?佐藤さんが絶対誰にもバレるなって言ったんじゃないですか」
2人でコソコソなんか話している。
でも、覚悟を決めたような顔をして瀬戸さんは口を開く。
「えっと……瀬戸千隼、です」
彼はそう言って、マスクとサングラスを外す。そこには、さっきまでの変人と同一人物とは思えないような綺麗な顔があった。私は、完全に固まった。
この顔…そして、瀬戸千隼ってたしか…
「Shadow×Lightの……瀬戸千隼!?」
男性アイドルには比較的興味がない方だが、流石にこの業界にいれば知っている。
『Shadow×Light』昨年、大規模な公開オーディションにより結成されたグループ。確か、メンバーは5人いたはず。その中でも瀬戸千隼といえば確か…
「クールな王子様キャラなはずじゃ…」
その瞬間、また2人ともビクッと飛び上がる。
「本当に申し訳ございません!!うちの瀬戸はイメージと違ってドジでアホでポンコツですが悪いやつではないんです!!」
佐藤さんがまた馬鹿でかい声で謝罪をしてくる。いや、辛辣だな。
続いて、隣でオロオロしていた瀬戸さんも慌てて頭を下げる。
「夢を壊してしまってすみません!」
…これはめんどくさいことになりそうだ。
