嘘つきな患者と、私の先生。

退院の日、菜月は少し緊張しながら荷物をまとめる。


世那がそっと手を差し伸べてくれて、菜月はその手を握る。


「……じゃあ、行こうか」




「……先生、ほんとに、いいの……?」



声が震え、胸の奥がまだざわつく。


昨日の発作のことが頭をよぎる。



世那は優しく、でも真剣な眼差しで菜月を見下ろす。




「……もちろんだ。何回でも言うよ、菜月。俺はお前と一緒にいたい」



菜月は小さく目を閉じ、息を吐く。



胸の奥がぎゅっと締め付けられるけれど、世那の言葉に少しだけ安心する。



「……でも……私、迷惑かけちゃう……」



「迷惑だなんて思ってない。お前が無理しないでいられるなら、それだけで十分だ」



そう言って菜月の頭を撫でる




「……先生と一緒なら、怖くないかも」



世那は軽く笑って、肩にそっと手を添える。


「そうだな。ずっと、そばにいるから」



二人は手をつないで、少し照れくさそうに、でも確かに恋人として歩き出した。