さっちゃんと雑談をしながらクラスに向かうと、教室の前に人だかりが。なんだろうね、なんて顔を見合わせて人だかりに近づく。
「あの子だよね、うわさのイケメンくんって」
「そうそう。おそらくこの学校では一番だと思う」
「たしかにレベルが違うわ」
うんうん、と関心している女子生徒の目線をゆっくりとなぞる。教室の後方の席で誰とも話さず、目を伏せているひとりの男子が目に入った。色素のうすいやわらかそうな髪が時たま窓から入る風に揺れる。ここからでもわかる、ただならぬオーラが彼を纏っている。
そりゃ、入学早々、うわさになるわけだ。納得。
「ねえ、花。あの人だよね、この人だかりの原因」
「うん、だね」
私たちは、緊張や不安が入り混じるクラスメイトの気持ちをひしひしと感じながら席に着いた。
