雪くんは幼なじみをやめたい





 4月。

 新しい制服に身を包み、鼻歌混じりに家を出る。ソメイヨシノがひらりひらりと舞う通学路を歩けば同じ制服姿の生徒がちらほら見えてきた。

 菖蒲花(あやめはな)、この4月から高校生です。




「花〜!こっちこっち!」


 学校に着くと、中学からの親友、さっちゃんこと若林皐月が大きく手をふり、私を呼んだ。


「えっ、さっちゃん、髪切ってる!かわいい」

「そうなの。気分変えたくてさ。てか、クラス発表!」


 見て見て、と生徒が群がる掲示板を指さした。

 新品のローファーは、まだ硬い。だけど、精一杯つま先に力を入れて背伸びをした。

【一年A組 菖蒲 花 ……若林 皐月】


「…っ、やった!同じクラスだ!」

「ね!最高だよォ」


 私たちは今すぐにでも飛び跳ねたい気持ちを抑えて抱き合った。親友と同じクラスなんて幸先がいい。