カラーリップ

早速化粧室にいき、レジ袋からカラーリップを取り出す。
唇にそっとのせてみる。
一度、二度。
映り込んだ自分の顔をじっと見つめる。

劇的な変化なんて、どこにもなかった。

「垢抜け」なんて魔法みたいな言葉とは程遠い。
相変わらずの私で、ただ、唇に少し色が乗って血色感はでた。

「まあ、いっか。」

そう自分に言い聞かせると、なんだか肩の力が抜けた。
大きな変化はないけれど、塗る前よりは、鏡の中の自分が少しだけかわいくなったような気がする。



そこそこ満足して、ブラブラしてたらしまむらに来てた。
しまパトしてみよう。
ラックに並ぶパステルカラーのカーディガンや、シアー素材のトップス。
さっき動画で見た「多幸感溢れる春コーデ」に似た服が、プチプラの価格帯でずらりと並んでいる。

可愛いけれど、私にはちょっと甘すぎるかな。
落ち着いたくすみピンクの色合いはすごく好きだけど、襟元の大きなフリルが少し難しい
もう少しあっさりしたデザインの方が好みかな。

お店をぐるっと一周して、結局何も買わずそのまま外に出た。
――あ、なんかめっちゃ喉渇いた、フードコート行こ



カウンターで冷たいドリンクを頼み、誰もいない端っこの席に座る。
一口飲んだあと、ストローの先端を見てみた。
ベッタリとつくわけじゃない。
ストローに、よく見れば分かるくらいの、ごく薄いピンクの跡が残っていた。
これくらいなら全然大丈夫
私はもう一口、ジュースを飲んだ。

そろそろ家に帰ろう