姫条のお屋敷にある謁見(えっけん)室の中で、
貴人を向かい入れるための美姫(びき)の間。
幼い頃はなんでわざわざあるのかしら?
なんて思っていたけど今ならちょっとわかるかも。
一度深呼吸をして、
扉に手をかけた。
「こんにちは」
「…美世叔母さま、ずいぶん早く来られたので驚きました」
「ごめんなさいね、楽しみで仕方なかったの」
お父さまの姉。
そして薬袋家当主の妻である───薬袋 美世。
歳を感じさせない姿にいつも驚かされる。
本当にお父さんの姉なのかしら?妹の間違いでは?なんて疑いたくなるぐらい。
「白姫のご加護があらんことよ、当主さま」
「叔母さま、やめてください。
私はあくまで臨時の当主なので挨拶など──」
「……臨時だろうが当主は当主でしょう?」
言葉を遮るように、柔らかな声が落ちる。
「当主には白姫の挨拶を。決まりだからね!」
……強い。
なんだろう。
この穏やかなのに、有無を言わさない圧。
叔母さまは、誰相手でも隙なんてものは作らない。
ほんとお手本のような人。



