「じゃあ学校頑張ってね!」
「姉さんも体には気をつけてください」
車に乗り込む飛鳥に手をぶんぶん振ってお見送り。
アルリス学園に行くだけで、数時間もしたら帰ってくるのはわかっているけど見送りたいんだもん。
飛鳥には止められたけど、私は毎日見送るつもりだからね!!
「当主さま」
「うん?」
呼ばれて振り返ると姫条家筆頭執事のミナトが立っていた。
「先程、薬袋(みない)夫人からご連絡がありました」
「美世(みよ)叔母さまから?」
「お昼頃に宝石商の方が到着するとのことです」
薬袋家。
お父さまの姉が嫁いだ家だ。つまり薬袋夫人は私たちの叔母に当たる。
そして、車から聞いていた飛鳥の顔が珍しく露骨に強ばっている。確かにこんな反応しちゃうよねー。
「わかった。時間を空けておいて」
「かしこまりました」
思った以上に早く予定を入れたのね、美世叔母さま。
ちらっと飛鳥に視線を向けると、何か言いたげにこっちを見ている。
「薬袋となにかあったんですか?」
「何も無いよ。ただ叔母さまがね」
「叔母さまと、なにか?」
そんな緊迫な表情しなくても大丈夫。
別に飛鳥が心配するようなことは何もないよ。
「美世叔母さまと買い物するだけ」
「……。」
「もう飛鳥!私は臨時でも一応姫条家当主なんだから心配しなくても大丈夫!!」
まだなにか言いたげな飛鳥を無視して、思いっきり車のドアを閉じてやった。
くるっと車に背を向ける。
今の姫条家当主は私なの。
飛鳥ばっかに頼ってられない。
──────私の臨時当主は、あと4ヶ月。



