『そうだわ、飛鳥。あなたは姫条家次期当主になるためにアルリス学園に幼等部から通っているそうね』
─────姫条(きじょう)家。
国内有数の財力を持つ名家のひとつ。
そんな名家のご子息ご令嬢が通うのが、王立アルリス学園です。
『せっかくだし、勉学に励むために寮に入りなさい』
普通、有数の名家のご子息となるとお屋敷から通学するのが一般的でした。
なぜなら、学園のある都内にお屋敷があり何不自由なく通うことができるから。
姫条家も例外ではありません。ですが提案されたのは寮でした。
そして女の子が10歳、飛鳥くんが8歳の頃に離れ離れになりました。
しかしこれは悲劇ではありません。
飛鳥くんがこのお屋敷にいれば、毎日辛い目にあっていた可能性がありました。
飛鳥くんが成人して、大人になって当主になる。
それまでの辛抱です。
女の子もそう思っていました。
でもまさか、10年後。
女の子が20歳、飛鳥くんが18歳のになる年。
不運な事故で姫条家当主とその後妻が亡くなるなんて誰が想像できたでしょうか──────。



