あとはこれを持っていけばいいね。
よいしょって、重いジュエリーボックスを抱えてお母さまの部屋から出ようとした時。
扉の前に人が現れた。
「咲良さま、飛鳥さまの引越しについての書類が届いております。至急お願いしたいとのことです」
「うわ、ミク!じゃあこのジュエリーボックスを置いたら急いで執務室に行くね」
「いえ、そちらは私が運んでおきますので咲良さまは執務室へ行かれてください」
「ありがとう!」
私の身の回りのお世話をしてくれている侍女のミク。
ここに来た最初の頃から一緒にいるから信頼できるひとりだ。
急いで執務室に来ると、机の上に丁寧に置かれた書類。
そこに『姫条 咲良』としっかり名前を書いて、姫条家の家紋の書かれた判子を押す。
これで長く続いたお引越しの手続きも終わり。
もうじき飛鳥がここに住めるようになる。
飛鳥のお部屋も綺麗にしないと。
──────私の臨時当主は、あと5ヶ月。



