そうなの!?
「出回りすぎて、どれがほんまか分からんようなるやつやな」
「でも最近は全然だよね~」
「せやな……もう半年くらい?お気に入りの店にも行ってんの、見てへんかもな」
……知らなかった裏の顔……見た気がする。
……半年以上……って……五月?
その時、今日いちばんいたずらっぽい顔で、遊里君が私の顔を覗き込んだ。
うっ……かわいい顔でそんな小悪魔みたいな上目遣い、やめて……
「ボク、心当たりあるんだけど~?」
「ああ、キラキラのピアノがどーのこーの言い出したの、五月くらいやったっけ?」
……まさか……私と出会ったから?
私には誠実であろうとしてくれてた……?
なんだか、やっと知っているセナ君を思い出せた気がした。
胸の奥のもやもやが、甘いフルーツサンドと一緒にふっと軽くなる。
二人はもう少し練習してから帰るとのことで、私は先にスタジオを後にした。
外はもう真っ暗。
寒さに肩をすくめながら、ふと思い出す。
みんなが出ているバラエティ番組……観れてなかったな。
ビルの上を見上げて、誰かとすれ違わないかなって、ふと期待してしまう。
差し入れ、次はみんなにできるかな。
そうだ……怜央さんと一緒に歩いた、この帰り道。
あの時とは違う気持ちが、今は胸にあふれている。
電車に揺られながら思う。
……帰ったら、まずはお風呂かな。
ゆっくりお風呂に入って、身体を温めて……
いつも通り、ピアノに向かおう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
件名:
【案件名】スターライトパレード 新シングル候補曲募集のお知らせ(一月二十三日〆)
本文:
音羽奏 様
いつもありがとうございます。マネージャーの八神です。
夏発売予定の新シングルに向け、以下の通り候補楽曲の募集を行います。
【納期】
二〇二六年一月二十三日(金)十五時〇〇分まで
【テーマ】
『夏の終わり』や『戻らない時間』を描いた、情緒的で余韻のある楽曲。
大人びた切なさ、胸を締めつけるような想い、過ぎゆく季節への寂しさ。
そういった感情を静かにすくい上げるような、心に残る一曲を希望します。
【曲調】
ミディアム~スローテンポ。
ピアノやアコースティックギターを基調に、言葉がしっとりと響く構成が理想です。
【音域】
仮歌:男性キー(高音E~F程度)
主旋律の表現力重視。ユニゾンやハモりは任意です。
【提出物】
メロディ+コード譜(PDFまたは画像形式)
仮歌入りデモ音源(mp三形式)
歌詞(仮でも可/テキスト形式)
【参考曲】
『あの夏のどこかに、きっと足りなかった何かがある』……後悔と祈りを描いた切ないポップ。
「君の影、僕の空」
夕暮れの情景を描いたミディアムナンバー。ふと残る気配を感じさせる一曲。
「君に届くその日まで」
言えなかった想いを胸に秘め、静かに祈り続けるバラード。感情の余白が光る。
【備考】
・編曲は不要です。
・複数曲提出可(上限三曲)
・他メンバーとの共作も歓迎(※希望があれば調整可)
気になる点があればいつでもご相談ください。引き続きよろしくお願いいたします。
マネージャー 八神 RiseTone Management
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
シングル!!
しかも……夏……!?
この真冬に夏の曲かぁ……
窓の外を見る。
外はすっかり真っ暗だった。
クリスマスの季節のせいなのか、年末が近いせいなのか……なんだか余計なことを考えすぎてしまう。
改めてコンペのお題を見返す。
『夏の終わり』や『戻らない時間』を描いた、情緒的で余韻のある楽曲。
大人びた切なさ、胸を締めつけるような想い、過ぎゆく季節への寂しさ。
そういった感情を静かにすくい上げるような、心に残る一曲を希望します。
うん。
今は夏じゃないけど、書ける気がする。
Mac Studioの電源を入れる。
無性に、何かに触れていたくなった。
何か……誰か……わからないけど、温度のあるものに。
Mac Studioの角を指先でなぞる。
触れたいのか、触れてほしいのか、自分でもよくわからなかった。
改めてPCとキーボードに向かいながら、気持ちを整理していく。
私の胸を締めつける気持ちの正体……
今のこの胸の奥の、ちくりと痛む感情。
今、スターライトパレードのみんなに伝えたい気持ち。
大人びた……切なさ……は少し難しいけれど、
伝えたい想いなら、ひとつ思い浮かんだ。
私はその気持ちを、曲にしよう。
どうか届きますように。
あなたの元へ。
テレビには、スターライトパレードのメンバーたちが、これから歌を披露する場面が映っている。
流れてくるのは、同じ事務所の先輩グループが出したクリスマスソング。
そして『shooting stars』のクリスマスアレンジバージョンのメドレー。
ベルの音が重なり、ストリングスが加わり、照明は赤と金。
いつものあの曲が、まるで違う曲みたいにきらきらと輝いている。
「……これ、アレンジ?」
すごい。
こんなふうに聴かせられるんだ。
面白そう。
思わず、テレビに合わせて口ずさむ。
まるで、一緒の時を過ごしているような錯覚さえ覚えてしまう。
曲が終わった瞬間、胸の奥にぽっかりと空白が広がる。
もし、ケンカしていなかったら、この番組も見学できたのかな。
ひょっとしたら、明日……クリスマスイブも、一緒に過ごせたのかな?
たとえ過ごせなかったとしても、一目だけでも会えたり……
さすがにみんな忙しすぎるのか、数日前から止まったままのグループLINEを見つめながら、クリスマスイブを迎える。
「出回りすぎて、どれがほんまか分からんようなるやつやな」
「でも最近は全然だよね~」
「せやな……もう半年くらい?お気に入りの店にも行ってんの、見てへんかもな」
……知らなかった裏の顔……見た気がする。
……半年以上……って……五月?
その時、今日いちばんいたずらっぽい顔で、遊里君が私の顔を覗き込んだ。
うっ……かわいい顔でそんな小悪魔みたいな上目遣い、やめて……
「ボク、心当たりあるんだけど~?」
「ああ、キラキラのピアノがどーのこーの言い出したの、五月くらいやったっけ?」
……まさか……私と出会ったから?
私には誠実であろうとしてくれてた……?
なんだか、やっと知っているセナ君を思い出せた気がした。
胸の奥のもやもやが、甘いフルーツサンドと一緒にふっと軽くなる。
二人はもう少し練習してから帰るとのことで、私は先にスタジオを後にした。
外はもう真っ暗。
寒さに肩をすくめながら、ふと思い出す。
みんなが出ているバラエティ番組……観れてなかったな。
ビルの上を見上げて、誰かとすれ違わないかなって、ふと期待してしまう。
差し入れ、次はみんなにできるかな。
そうだ……怜央さんと一緒に歩いた、この帰り道。
あの時とは違う気持ちが、今は胸にあふれている。
電車に揺られながら思う。
……帰ったら、まずはお風呂かな。
ゆっくりお風呂に入って、身体を温めて……
いつも通り、ピアノに向かおう。
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件名:
【案件名】スターライトパレード 新シングル候補曲募集のお知らせ(一月二十三日〆)
本文:
音羽奏 様
いつもありがとうございます。マネージャーの八神です。
夏発売予定の新シングルに向け、以下の通り候補楽曲の募集を行います。
【納期】
二〇二六年一月二十三日(金)十五時〇〇分まで
【テーマ】
『夏の終わり』や『戻らない時間』を描いた、情緒的で余韻のある楽曲。
大人びた切なさ、胸を締めつけるような想い、過ぎゆく季節への寂しさ。
そういった感情を静かにすくい上げるような、心に残る一曲を希望します。
【曲調】
ミディアム~スローテンポ。
ピアノやアコースティックギターを基調に、言葉がしっとりと響く構成が理想です。
【音域】
仮歌:男性キー(高音E~F程度)
主旋律の表現力重視。ユニゾンやハモりは任意です。
【提出物】
メロディ+コード譜(PDFまたは画像形式)
仮歌入りデモ音源(mp三形式)
歌詞(仮でも可/テキスト形式)
【参考曲】
『あの夏のどこかに、きっと足りなかった何かがある』……後悔と祈りを描いた切ないポップ。
「君の影、僕の空」
夕暮れの情景を描いたミディアムナンバー。ふと残る気配を感じさせる一曲。
「君に届くその日まで」
言えなかった想いを胸に秘め、静かに祈り続けるバラード。感情の余白が光る。
【備考】
・編曲は不要です。
・複数曲提出可(上限三曲)
・他メンバーとの共作も歓迎(※希望があれば調整可)
気になる点があればいつでもご相談ください。引き続きよろしくお願いいたします。
マネージャー 八神 RiseTone Management
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シングル!!
しかも……夏……!?
この真冬に夏の曲かぁ……
窓の外を見る。
外はすっかり真っ暗だった。
クリスマスの季節のせいなのか、年末が近いせいなのか……なんだか余計なことを考えすぎてしまう。
改めてコンペのお題を見返す。
『夏の終わり』や『戻らない時間』を描いた、情緒的で余韻のある楽曲。
大人びた切なさ、胸を締めつけるような想い、過ぎゆく季節への寂しさ。
そういった感情を静かにすくい上げるような、心に残る一曲を希望します。
うん。
今は夏じゃないけど、書ける気がする。
Mac Studioの電源を入れる。
無性に、何かに触れていたくなった。
何か……誰か……わからないけど、温度のあるものに。
Mac Studioの角を指先でなぞる。
触れたいのか、触れてほしいのか、自分でもよくわからなかった。
改めてPCとキーボードに向かいながら、気持ちを整理していく。
私の胸を締めつける気持ちの正体……
今のこの胸の奥の、ちくりと痛む感情。
今、スターライトパレードのみんなに伝えたい気持ち。
大人びた……切なさ……は少し難しいけれど、
伝えたい想いなら、ひとつ思い浮かんだ。
私はその気持ちを、曲にしよう。
どうか届きますように。
あなたの元へ。
テレビには、スターライトパレードのメンバーたちが、これから歌を披露する場面が映っている。
流れてくるのは、同じ事務所の先輩グループが出したクリスマスソング。
そして『shooting stars』のクリスマスアレンジバージョンのメドレー。
ベルの音が重なり、ストリングスが加わり、照明は赤と金。
いつものあの曲が、まるで違う曲みたいにきらきらと輝いている。
「……これ、アレンジ?」
すごい。
こんなふうに聴かせられるんだ。
面白そう。
思わず、テレビに合わせて口ずさむ。
まるで、一緒の時を過ごしているような錯覚さえ覚えてしまう。
曲が終わった瞬間、胸の奥にぽっかりと空白が広がる。
もし、ケンカしていなかったら、この番組も見学できたのかな。
ひょっとしたら、明日……クリスマスイブも、一緒に過ごせたのかな?
たとえ過ごせなかったとしても、一目だけでも会えたり……
さすがにみんな忙しすぎるのか、数日前から止まったままのグループLINEを見つめながら、クリスマスイブを迎える。
