スターライトパレード

駅から少し歩いたところにある、小さなフルーツサンドのお店。
白い木の扉とパステルブルーの外壁が目印で、ショーウィンドウには色とりどりのフルーツサンドがずらりと並んでいる。
まるで宝石みたいにきらきらしていて、見ているだけで胸が浮き立った。

「いらっしゃいませ」

やさしそうな女性の店員さんが、笑顔で迎えてくれる。

「ふぁぁっ……!」

目の前に広がる、たくさんのフルーツとクリームに挟まれたフルーツサンドを前に、思わず感嘆の声が漏れる。
ショーケースの中には、定番のいちごやキウイ、バナナはもちろん、季節限定の柿とラ・フランス、ピンクグレープフルーツ、ルビーみたいなザクロまで並んでいた。
どれも生クリームやカスタードとのバランスがよくて、見ているだけでうっとりしてしまう。

……えー、いちごは外せない。
あと、季節限定のも……!

ダンスのレッスンって言ってたし、さっぱりしたのもいいよね。
柑橘……系……?

ふと、セナ君や怜央さんの香水を思い出して、心臓が跳ねた。
LINEでは遊里君と真央君だけって言ってたけど、他のメンバーが来るかも?
……来なくても、スタッフさんが食べてくれるよね……

そんな言い訳をしながら、三人じゃ食べきれない量を買ってしまった。
……ちょっと、買いすぎたかも。

レッスン場までたどり着き、八神さんが話を通してくれていたおかげで中へ入る。
遊里君にLINEを送る。

『ついたよ』

っと……廊下の小窓から中を覗く。

何度かライブやTVで見たことはあるけれど、練習している姿はまた違った。
真剣で、ひたむきで、同年代の二人が汗だくで踊る姿を見ていると、私も頑張らなくちゃと思えてくる。

『あのときのおまえに、オレは何度も救われたんだ』

セナ君が言ってた……
セナ君も、あの時こんな気持ちだったのかな。

スタジオから出てきた二人と目が合う。

「奏じゃーん!待ってたよ~!」
「お疲れ様。差し入れ持ってきたの。食べる時間あるかな?」

差し入れの紙袋を受け取った真央君が中身を覗く。

「お、フルーツサンドやん」
「控室こっちこっち!はやくはやく!!」

案内されて控室へ入る。
明るくて、清潔な部屋だった。
控室はスタジオに隣接していて、窓からの光がやわらかく差し込む広さ。
床にはクッションマットが敷かれ、ソファやテーブルのほかに、ストレッチ用のヨガマットまで置かれている。
部屋の隅には冷蔵庫とウォーターサーバー、それからコーヒーマシンもあって、たくさんのペットボトルや紙コップが並んでいた。

「いちご、めっちゃ甘い~!」
「お前、先に食べすぎやろ」

真央君がつっこみながらも、ぱくっと口に運ぶ。

「……うんま。……やば、疲れ飛ぶわ」
「がんばったご褒美だね」

私もそばに座って、ペットボトルを開ける。
遊里君がちらっとこちらを見て、いたずらっぽく笑った。

「……ねー?セナ君と怜央君と、なんかあったでしょ?」
「……ぶっ……!え?な、なんで!?」
「だって、セナ君と怜央君、全然目合わせないし~」

二人が控室で会話もなく、目も合わせないこと。
セナ君は休憩時間、ずっとスマホを見つめていること。
以前の怜央さんは毎日違う服を着てるんじゃ、ってくらいだったのに、ずっと同じコートを着ていること。
時々セナ君が、そのコートを睨んでいること……

細かすぎる観察眼にびっくりする。

「どれくらいだっけ?」
「もう一カ月近いんちゃう?」
「スマホずっと見てるくせに、奏とのグルランは既読無視!これで何もない方がおかしいでしょー?」

……え、怖っ……すごすぎる。
ペットボトルのラベルをいじりながら、少しずつ話す。

「えっと……怜央さんと……ちょっとデート、みたいな感じになって……」
「「デート!?」」
「あ、怜央さんはきっとそんなつもりないの!でも、それがきっかけで……セナ君と言い合いみたいになって……」
「なにそれ恋愛バトル!?やだ~~~たぎる~~~!」
「楽しんでるでしょ……!」
「あの二人がそんな甘酸っぱいことしてるなんて面白すぎるんだけど~~~!」
「まぁ、御影さんとセナ君だと、恋愛回り真逆やしなー」
「セナ君なんて、検索したらいっぱい出てくるし」