スターライトパレード

こんなオレを知ったら、余計に嫌われるかもしれない。
……まあ、もうどうでもいいか。
あんなケンカして。
どれだけ想っても、奏はオレのものにはならない。

あいつは、オレなんかよりレオと一緒の方が幸せになれるんだ。

……誠実なレオなら。
あいつのこと、ちゃんと幸せにしてくれる。

奏……
奏……

でも、オレが奏を幸せにしたいんだ。
奏がそばにいるだけで、オレは幸せになれるんだよ……


「……?セナ君?」

不意に呼ばれて、目の前の彼女にハッとする。

ふいに、唇の感触が変わる。
現実へと引き戻される。

目の前には名前も知らないラウンジの彼女。

目を閉じて、甘く口づけを返してくる彼女の吐息。
そのまま、首筋に腕をまわし、脚を絡めてくる身体が、奏のそれとまったく違う形で密着してくる。

……違う。
ぜんぜん、違う。

目の前にいるのは、奏じゃない。
……何してんだ、オレ

頭の奥が、冷水を浴びたみたいに冴えていく。
急に現実が、恥ずかしいくらい生々しくなっていく。

自分の思いと目の前にいる女の子のあまりの違いに愕然とする……
そうか……これに奏は怒ってるんだ…

……最低だ。
何してんだ、オレ。

「……わり、帰るわ」
「え?え、ちょっ……どうしたの!?」

返事も聞かず、ベッドを離れ、立ち上がり、脱いだシャツを手に取り出口に向かいながら急いで着る。
突き刺す冷たい空気が、肌にまとわりつく。

最低だ。
あんな誰でも構わない似ても似つかない子と奏を重ねて、一瞬の温もりや快楽を他に求めてしまった……
こんなの、自己嫌悪以外の何物でもない。

ホテルを出た瞬間、膝が崩れて、しゃがみ込んだ。

「ナイスアシスト」

あのときのレオの声が、頭の奥で響く。
走っていった後ろ姿が、まぶたの裏に焼きついて離れない。

……なんで、なんであいつ、あんなにカッケーんだよ……
マジで、クソが……

こんな情けない自分と、あいつの差がひどすぎて、笑えてくる。

罪悪感、自己嫌悪、汚れた自分の浅はかさ。
ぜんぶ喉の奥でつかえて、うまく呼吸すらできなかった。

奏に、こんな自分を見せられるわけない。
もう、合わせる顔なんてどこにもない。

……なのに。

「……なんで……こんなんなっても、オレ、奏のことしか考えられねぇんだよ……」

くしゃっと、前髪を握りしめた。

誰の身体にも、誰の唇にも、何ひとつ満たされなかった。

……全部、全部、奏じゃなきゃダメだったんだ。

「マジで……頼むから早く……オレのものになってくれよ……」