スターライトパレード

「はぁ……やっとテストが終わった……」

すっかり十二月になり、街はクリスマス一色に変わっていた。
駅前も、商店街も、ショーウィンドウも、どこを見ても赤と緑と金色ばかりで、急に一年の終わりが近づいてきた気がする。

スターライトパレードのみんなとのLINEグループを見ると、年末年始の撮影が始まっていて、みんな大変そうだった。

豊田遊里:もーやだーゲームしたいー
柊真央:また言うてるやん、それ
椿翔平:おまえは二十二時には帰れるだろ……
御影怜央:今、撮影現場の暖房壊れてるってどういうこと……?
井上信:しかも次、外ロケだってさ。雪降りそうなくらい寒いんだけど
天野蓮:コンビニでカイロ買ってきたけど、全然追いつかん
椿翔平:「気合いでどうにかしてください」ってスタッフに言われた
豊田遊里:年末進行まじで地獄
柊真央:ほんま、冬ってだけで疲れ倍増するよなぁ
御影怜央:え、俺もうカレンダー見てない。心の平穏が保てない。
椿翔平:心の平穏とか言いながら、今日の髪型ガチすぎてビビったぞ
井上信:ワイプでいじられてたね
椿翔平:やめろww

ふふっ……

『みんなお疲れ様。私も今日期末テストが終わりました♪』

っとメッセージを送ると、すぐにぱぱっと労いの返信が届く。
既読の数はやっぱり七。
でもメッセージは六件。

誰から来ていないのか、すぐにわかってしまって、少し胸が痛んだ。

あれから、ちゃんと話せていない。
エレベーターで会った時も、逃げるみたいに出てきてしまった。
私が避けているのか、向こうが距離を取っているのか、もうよくわからない。
ただ、一人だけ返事がないことが、思っていたよりずっと堪える。

ぼんやりスマホを眺めていると、遊里君から個別のメッセージが届く。

『来週から、ボクと真央だけレッスンヤダーーー!!』

テストも終わったし……
来週からは午前授業なんだよね。

『良かったら差し入れ持って行くから、がんばって!!』

すぐに既読になって、『わーい』と書かれた可愛いスタンプが表示される。

さてと……

テスト中は開いていなかったノートPCを立ち上げ、メールチェックをする。
ママからは、相変わらず業務連絡みたいなメール。

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件名:年末年始の予定について

奏へ

年末年始の予定について連絡です。

十二月下旬から一月初旬にかけて、ヨーロッパ各地でのコンサートやリハーサルが続くため、引き続きフランスを拠点に動きます。
十二月二十日~一月六日頃まではほぼ毎日スケジュールが入っており、あちこち移動することになりそうです。
パパは十二月二十三日頃にこちらに来る予定です。年明けには一緒に戻ると思います。

クリスマスプレゼント、もし欲しいものがあれば早めに教えてください。
あまり時間は取れないけれど、できる範囲で探します。

寒くなってきたので、体調には気をつけて。

ママより
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クリスマスプレゼントかぁ……
モニターにうっすら映る自分を見ながら、ママに返信する。

『メールありがとう。
来年は私もパパとそっちに行こうかな。
プレゼントはお化粧品を揃えてみたいです。
帰国したら一緒に見に行きたいな。
ママも体調には気を付けてね』

っと。

スターライトパレードのみんなは、プレゼント交換とか……しちゃうのかな。
ファンからのプレゼントとか……もらったりするのかな。
ファンじゃない女の子……からも、もらっちゃうのかな……

「いやいや、何考えてるの私……」

少し心に風が吹いたような気がしながら、メールの確認を進めていく。
たぶん、やっとテストが終わって、張っていた気が緩んだからだ。
たぶん、セナ君のことを考えないようにしていた反動だ。
たぶん。
……ほんとに?