スターライトパレード

色々なことに気づかないふりをして、私は鍵盤と机に向かった。

期末テストの追い込み中、ふとSNSを覗くと、『#椿翔平誕生祭』のハッシュタグが目に飛び込んできた。

え!?
今日って椿さんのお誕生日だったの!?

アイドルにも誕生日があることに今さら気づいて、慌ててグループLINEにお祝いのメッセージを送る。

『椿さん、お誕生日おめでとうございます。直接お祝いしたかったんですが、期末テストが近くて……LINEですいません』

椿翔平:ありがとう。気持ちだけで嬉しいよ。テストがんば。
豊田遊里:ボクの誕生日はね~三月七日だよ!
柊真央:遊里ずるい!僕は六月三日やけどね。
御影怜央:真央もちゃっかり言ってるじゃん、俺は一月十二日。
井上信:七月十日。浅草寺で、この日に参拝すると四万六千日分の功徳があると言われています。
天野蓮:いや、信こわいって!ちなみにおれは十月十四日!

次々に教えてもらったみんなの誕生日を、カレンダーに入力していく。
セナ君からのメッセージは……無い。
そっとWikipediaを開いて調べてみる。

『諏訪セナ 誕生日二月五日(二十歳)』

既読は七。
けれど、届かないメッセージに胸がちくりと痛んだ。

そうだ……
キーボードを買う予定だったお金で、来年はみんなにプレゼントを買えたらいいな。
セナ君にも……買えるかな。

そんなことを思いながら、再び机に向かって勉強を再開する。
ノートの上に視線を落としているのに、頭の片隅ではずっと、あのエレベーター前の会話が引っかかっていた。
怒っていたセナ君の顔。
言い返した自分の声。
最後にちゃんと終われなかったまま、気まずさだけが残っている。

なのに、誕生日を調べてしまう自分がいる。
ほんと、何やってるんだろう。
でも、気になってしまうのだから仕方ない。