翌日、無事に学校へ復帰した帰り道、八神さんから事務所に寄るよう連絡が入り、指定された会議室へ向かう。
コンコンコン……
「失礼します」
扉を開けると、正座するメンバーと、その前に仁王立ちする八神さんの姿があった。
「え??みんなどうしたの??」
「グループの決まりなの。叱られる時は正座って」
最前列で正座していた蓮君が教えてくれる。
「ねー!!この年齢順で正座並ぶの、いい加減やめないー!?ボク一生最前列なんだけど!?」
「いや、マジで正座とかさ……ダルくね」
足を崩すセナ君。
「セナ、遊里、誰が足を崩していいと言った」
八神さんの声がぴしゃりと響き、空気が凍る。
その緊張感に耐えきれず、私もすごすごとみんなの元へ行く。
靴を脱いで、遊里君の隣に正座する。
「いや、なんで奏ちゃんまで正座すんねん」
「あ……年齢順って聞いたから……遊里君と真央君の間が空いて無いから、とりあえず端に……」
「おまえは正座する必要ねって。ほら、椅子座れ」
「セナ!どさくさに紛れて正座を崩すな!」
再び八神さんの喝。
「お前らな……自分たちが何をしたのかわかっているのか?」
誰も答えられず、しんと静まり返る会議室。
「空港での件だ」
低い声に、さらに空気が張り詰める。
「芸能人が『空港で集団パフォーマンス』。聞こえはいいが、警備、許可、通行の妨げ、どれを取っても事務所にとってはリスクの塊だ」
「でも!私のために……」
「音羽さん。これは、彼らが『自分の意思で』選んだ行動だ」
八神さんが深く息を吐き、腕を組む。
アイドルとしても、行動が社会にどう受け止められるか。
ファンのこと。スポンサーのこと。そして事務所の信用。
今回は幸い問題にならなかったけれど、パパの会社、NovaTone Inc.にまで影響が及ぶ可能性……
……そうだよね。
そこまで、本当に考えが及んでなかった……
「幸い、今回は『奇跡的に』何事もなかった。だから正座で済んでる」
「……」
「でも次、同様のことを起こしたら……上層部判断で謹慎もあり得る。わかったな」
八神さんが手帳を開きながら続ける。
「……今朝、事務所としてJSA本社に謝罪に行ってきた。空港内での無許可パフォーマンスについて、当然厳しい指摘はあった。だが……」
一拍置いて、八神さんはふっと表情を和らげた。
「……あの場にいた誰もが、心を動かされたと。そう言われた」
「その上で『ぜひ正式な形で、あの世界観を映像にしてプロモーションとして使わせてほしい』と。つまり……」
えっ、それって……
「JSAのCMソングに採用したいと正式にオファーが来た」
えっ……!
「ただのCMじゃない。国際線再編に合わせた大型プロモーション企画で、特設サイト、テレビ、ラウンジ内放映まで展開する『顔』になる案件だ。かなり大きい」
目の前の出来事が、信じられない。
「あと、これはもう報告になるけど」
八神さんが私を見る。
「空港での曲が、アルバムのリード曲に決定した」
リード曲……!?
「原曲と作詞だけの状態だから、これからアレンジが入ってレコーディングに入る。タイトなスケジュールになるが、体調管理には気を付けて、引き締めて仕事に取り掛かるように」
八神さんが資料を閉じ、セナ君に向かって言う。
「あと、誰とは言わんが、ポルシェをターミナル前に一時駐車するのは禁止だ。空港職員から事務所に直接クレームが来た」
「セナ君やん!!」
「うわーーー!」
あまりの展開に、思わず笑いがこぼれた。
気がつけば、みんなも笑っていた。
コンコンコン……
「失礼します」
扉を開けると、正座するメンバーと、その前に仁王立ちする八神さんの姿があった。
「え??みんなどうしたの??」
「グループの決まりなの。叱られる時は正座って」
最前列で正座していた蓮君が教えてくれる。
「ねー!!この年齢順で正座並ぶの、いい加減やめないー!?ボク一生最前列なんだけど!?」
「いや、マジで正座とかさ……ダルくね」
足を崩すセナ君。
「セナ、遊里、誰が足を崩していいと言った」
八神さんの声がぴしゃりと響き、空気が凍る。
その緊張感に耐えきれず、私もすごすごとみんなの元へ行く。
靴を脱いで、遊里君の隣に正座する。
「いや、なんで奏ちゃんまで正座すんねん」
「あ……年齢順って聞いたから……遊里君と真央君の間が空いて無いから、とりあえず端に……」
「おまえは正座する必要ねって。ほら、椅子座れ」
「セナ!どさくさに紛れて正座を崩すな!」
再び八神さんの喝。
「お前らな……自分たちが何をしたのかわかっているのか?」
誰も答えられず、しんと静まり返る会議室。
「空港での件だ」
低い声に、さらに空気が張り詰める。
「芸能人が『空港で集団パフォーマンス』。聞こえはいいが、警備、許可、通行の妨げ、どれを取っても事務所にとってはリスクの塊だ」
「でも!私のために……」
「音羽さん。これは、彼らが『自分の意思で』選んだ行動だ」
八神さんが深く息を吐き、腕を組む。
アイドルとしても、行動が社会にどう受け止められるか。
ファンのこと。スポンサーのこと。そして事務所の信用。
今回は幸い問題にならなかったけれど、パパの会社、NovaTone Inc.にまで影響が及ぶ可能性……
……そうだよね。
そこまで、本当に考えが及んでなかった……
「幸い、今回は『奇跡的に』何事もなかった。だから正座で済んでる」
「……」
「でも次、同様のことを起こしたら……上層部判断で謹慎もあり得る。わかったな」
八神さんが手帳を開きながら続ける。
「……今朝、事務所としてJSA本社に謝罪に行ってきた。空港内での無許可パフォーマンスについて、当然厳しい指摘はあった。だが……」
一拍置いて、八神さんはふっと表情を和らげた。
「……あの場にいた誰もが、心を動かされたと。そう言われた」
「その上で『ぜひ正式な形で、あの世界観を映像にしてプロモーションとして使わせてほしい』と。つまり……」
えっ、それって……
「JSAのCMソングに採用したいと正式にオファーが来た」
えっ……!
「ただのCMじゃない。国際線再編に合わせた大型プロモーション企画で、特設サイト、テレビ、ラウンジ内放映まで展開する『顔』になる案件だ。かなり大きい」
目の前の出来事が、信じられない。
「あと、これはもう報告になるけど」
八神さんが私を見る。
「空港での曲が、アルバムのリード曲に決定した」
リード曲……!?
「原曲と作詞だけの状態だから、これからアレンジが入ってレコーディングに入る。タイトなスケジュールになるが、体調管理には気を付けて、引き締めて仕事に取り掛かるように」
八神さんが資料を閉じ、セナ君に向かって言う。
「あと、誰とは言わんが、ポルシェをターミナル前に一時駐車するのは禁止だ。空港職員から事務所に直接クレームが来た」
「セナ君やん!!」
「うわーーー!」
あまりの展開に、思わず笑いがこぼれた。
気がつけば、みんなも笑っていた。
