「……えぇぇえええ!?!?」
アナウンサーさんの言葉に、思わずソファに突っ伏してしまう……
ママは、気づいちゃう?
テレビ越しだと、わからないかも……
スタジオにいなければいい。
いっそもう、放送前にスタジオを後にして帰路に着いていてくれたら……
メールには食事しようと書かれていたよね……
後ろにある機材を見る。
……家に来さえしなければ、バレないよね?
放送後、パパにママのことを聞くのも考えた。
でも、怖くてやめた。
聞いた瞬間に現実になってしまいそうで。
まだ何も起きていないうちは、見ないふりをしていたかった。
自分から動かないというか、動けないまま……あれから十日……
ママからは、何も音沙汰がない。
今度こそ見逃さないようにと、メールを毎日チェックしていた。
スマホも、PCも、何度も何度も確認して、そのたびに拍子抜けして。
安心したいのに、安心したらしたで、別の不安が膨らむ。
そんな落ち着かない時間だけが過ぎていった。
そこで、目に飛び込んできたのが……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
件名:【案件名】スターライトパレード 新AL候補曲募集のお知らせ(十一月一日〆)
本文:音羽奏 様
いつもありがとうございます。マネージャーの八神です。
次回アルバム収録に向け、以下の通り候補楽曲の募集を行います。
【納期】
二〇二五年十一月一日(金)十五時〇〇分まで
【テーマ】
『支え』『原点』『感謝』など、自分を形作ってきた“誰か”への想いをテーマにした楽曲。
ファン・家族・友人など、誰を想定しても構いません。
個人的で、けれど誰かの心にもそっと届くような温度感のある楽曲を希望します。
【曲調】
ミディアム~アップテンポ。
ライブでも披露できるよう、明るさや前向きさを感じられる仕上がりが望ましいです。
【音域】
仮歌:男性キー/高音Fまで対応(ユニゾン中心でもOK)
【提出物】
メロディ+コード譜(PDFまたは画像形式)+仮歌入りデモ音源(mp三形式)
【参考曲】
『PRISMATIC』『My Light』など、個々の想いが歌詞ににじむタイプのもの
【備考】
・編曲は不要です。
・複数曲提出可(上限三曲)
・他メンバーとの共作も歓迎(※希望があれば調整可)
気になる点があればいつでもご相談ください。引き続きよろしくお願いいたします。
マネージャー 八神
RiseTone Management
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アルバム!!
アルバムの曲を考えていいの!?!?
ここ数日、ママのことが気になってピアノに集中できずにいたのに、メールを読んだ瞬間、頭の中が一気にクリアになる。
「あれ……三曲しか出せないんだ……」
今なら何曲でも書けそうな気がしているのに。
むしろ、三曲に絞る方が難しいかもしれない。
こんなの書きたい、あれも試したいって、急に頭の中が騒がしくなる。
Mac Studioの電源を入れる。
わずかな間を置いて、部屋に“ポーン”という澄んだ起動音が響いた。
何度かPCを立ち上げてソフトをいじってみたりはしたけど、本格的に作曲するために立ち上げるのは初めてだ。
モニターに現れるAppleのロゴ。
初期設定はすでに済んでいて、デスクトップには「Logic Pro」のアイコンが整然と並んでいた。
それだけで、なんだか急に“本格的”という言葉が迫ってくる。
一呼吸、置いてから……
白くて無垢な鍵盤に手をかけながら、深く息を吸い込む。
グランドピアノと違って、なんだか不思議な感覚。
目の前には、まだ何もないキャンバスみたいなプロジェクト画面。
カーソルを「新規作成」に合わせた指先が、ほんの少し震える。
「……よし」
クリックの音が、やけに大きく感じた。
画面が切り替わり、無数のトラックとプラグインが並ぶ世界に圧倒されつつも、胸の奥が熱くなる。
「作れる……ここで……」
ヘッドホンをつけて、最初の音を鳴らす。
生まれたばかりの、自分だけの“音”。
モニターの中の真っ白な五線譜を見つめる。
少しだけ緊張しながら、MIDIキーボードに手を置いた。
指先がゆっくりと鍵盤を押す……
♪……
音とほぼ同時に、画面に小さな丸い音符が現れた。
一音、また一音。
アルペジオ、コード、右手のメロディラインに左手の伴奏。
鍵盤を鳴らすたび、まるでインクのペンで走り書きするみたいに、音符たちが五線の上へ書き上がっていく。
「……すごい。これ……」
驚きと、少しの戸惑い。
まるで、自分の頭の中をそのまま可視化してくれているみたいだった。
画面に広がる五線譜は、感情の波紋そのものだった。
どこかで聴いた旋律……いや、どこにもない“今生まれた”旋律が、確かなかたちになっていく。
♪~~~♪
スマホのアラームが鳴る。
聞き慣れたメロディが、やけに遠く感じる。
時計は七時。
結局、あの後楽しくなりすぎてしまって、寝たのは午前四時……三時間しか寝れてなかった……
完成したらみんなに聴いてほしいな……
あ、でもコンペ前だからダメなのかな。
アナウンサーさんの言葉に、思わずソファに突っ伏してしまう……
ママは、気づいちゃう?
テレビ越しだと、わからないかも……
スタジオにいなければいい。
いっそもう、放送前にスタジオを後にして帰路に着いていてくれたら……
メールには食事しようと書かれていたよね……
後ろにある機材を見る。
……家に来さえしなければ、バレないよね?
放送後、パパにママのことを聞くのも考えた。
でも、怖くてやめた。
聞いた瞬間に現実になってしまいそうで。
まだ何も起きていないうちは、見ないふりをしていたかった。
自分から動かないというか、動けないまま……あれから十日……
ママからは、何も音沙汰がない。
今度こそ見逃さないようにと、メールを毎日チェックしていた。
スマホも、PCも、何度も何度も確認して、そのたびに拍子抜けして。
安心したいのに、安心したらしたで、別の不安が膨らむ。
そんな落ち着かない時間だけが過ぎていった。
そこで、目に飛び込んできたのが……
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件名:【案件名】スターライトパレード 新AL候補曲募集のお知らせ(十一月一日〆)
本文:音羽奏 様
いつもありがとうございます。マネージャーの八神です。
次回アルバム収録に向け、以下の通り候補楽曲の募集を行います。
【納期】
二〇二五年十一月一日(金)十五時〇〇分まで
【テーマ】
『支え』『原点』『感謝』など、自分を形作ってきた“誰か”への想いをテーマにした楽曲。
ファン・家族・友人など、誰を想定しても構いません。
個人的で、けれど誰かの心にもそっと届くような温度感のある楽曲を希望します。
【曲調】
ミディアム~アップテンポ。
ライブでも披露できるよう、明るさや前向きさを感じられる仕上がりが望ましいです。
【音域】
仮歌:男性キー/高音Fまで対応(ユニゾン中心でもOK)
【提出物】
メロディ+コード譜(PDFまたは画像形式)+仮歌入りデモ音源(mp三形式)
【参考曲】
『PRISMATIC』『My Light』など、個々の想いが歌詞ににじむタイプのもの
【備考】
・編曲は不要です。
・複数曲提出可(上限三曲)
・他メンバーとの共作も歓迎(※希望があれば調整可)
気になる点があればいつでもご相談ください。引き続きよろしくお願いいたします。
マネージャー 八神
RiseTone Management
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アルバム!!
アルバムの曲を考えていいの!?!?
ここ数日、ママのことが気になってピアノに集中できずにいたのに、メールを読んだ瞬間、頭の中が一気にクリアになる。
「あれ……三曲しか出せないんだ……」
今なら何曲でも書けそうな気がしているのに。
むしろ、三曲に絞る方が難しいかもしれない。
こんなの書きたい、あれも試したいって、急に頭の中が騒がしくなる。
Mac Studioの電源を入れる。
わずかな間を置いて、部屋に“ポーン”という澄んだ起動音が響いた。
何度かPCを立ち上げてソフトをいじってみたりはしたけど、本格的に作曲するために立ち上げるのは初めてだ。
モニターに現れるAppleのロゴ。
初期設定はすでに済んでいて、デスクトップには「Logic Pro」のアイコンが整然と並んでいた。
それだけで、なんだか急に“本格的”という言葉が迫ってくる。
一呼吸、置いてから……
白くて無垢な鍵盤に手をかけながら、深く息を吸い込む。
グランドピアノと違って、なんだか不思議な感覚。
目の前には、まだ何もないキャンバスみたいなプロジェクト画面。
カーソルを「新規作成」に合わせた指先が、ほんの少し震える。
「……よし」
クリックの音が、やけに大きく感じた。
画面が切り替わり、無数のトラックとプラグインが並ぶ世界に圧倒されつつも、胸の奥が熱くなる。
「作れる……ここで……」
ヘッドホンをつけて、最初の音を鳴らす。
生まれたばかりの、自分だけの“音”。
モニターの中の真っ白な五線譜を見つめる。
少しだけ緊張しながら、MIDIキーボードに手を置いた。
指先がゆっくりと鍵盤を押す……
♪……
音とほぼ同時に、画面に小さな丸い音符が現れた。
一音、また一音。
アルペジオ、コード、右手のメロディラインに左手の伴奏。
鍵盤を鳴らすたび、まるでインクのペンで走り書きするみたいに、音符たちが五線の上へ書き上がっていく。
「……すごい。これ……」
驚きと、少しの戸惑い。
まるで、自分の頭の中をそのまま可視化してくれているみたいだった。
画面に広がる五線譜は、感情の波紋そのものだった。
どこかで聴いた旋律……いや、どこにもない“今生まれた”旋律が、確かなかたちになっていく。
♪~~~♪
スマホのアラームが鳴る。
聞き慣れたメロディが、やけに遠く感じる。
時計は七時。
結局、あの後楽しくなりすぎてしまって、寝たのは午前四時……三時間しか寝れてなかった……
完成したらみんなに聴いてほしいな……
あ、でもコンペ前だからダメなのかな。
