スターライトパレード

「お土産ありがとう! マカロン!? なにこれ、かわいい!! 箱が二段になってる!?」

初めて見る、かわいい箱に入ったスイーツを前に、思わずテンションが上がってしまう。
でも、ふと疑問が湧いて、そのまま口をついた。

「ん? どした? 食わねーの?」

私の様子を見ていたセナ君が、コーヒーを口に含む。

「こういうのって……いつも誰かにあげてたりするの?」
「ブッ!!……は???」

盛大にコーヒーを吹き出して、咳き込むセナ君。

「いや、なんか……慣れてるっていうか。女の子が好きそうなやつ、よく知ってるなって」
「……お前な……そんなに女慣れしてたら、今ここにいねぇよ」
「え?? それってどういう意味……」

私の言葉を遮るように、セナ君がマカロンをひとつ手に取って、私の顔の前に差し出した。

「ほら。口開けろ。あーん」

言われるがままに口を開けると、マカロンがそっと運ばれてくる。
一瞬、彼の親指が唇に触れた気がした。

「おいしいーー!!」

マカロンの甘さに感動している私の視界に、
自分の親指をぺろっと舐めるセナ君が映る。

何この人……
こんなこと、誰にでもしてるの……?
否定してたけど、絶対女慣れしてるでしょ……

予想以上の甘さが追加されて、私はごまかすように次はどれを食べようか選びはじめる。
そうしているうちに、一向に食べる気配のないセナ君に気がついた。

「……あれ? 食べないの?」
「ん? 仕事で食う必要があるとき以外は、夜の六時以降は飲み物だけな」
「え!? 嘘!!?? なんで??」
「……顔に出るから。むくみとか。翌日の現場に残るんだよ、地味に」

さらっと言うセナ君。

……知らなかった。

セナ君曰く、
椿さんは現場の前にジムで一時間走るのが習慣らしい。
怜央さんは、撮影の前日は塩分を控えて、顔の輪郭がぼやけないようにしてるんだとか。
信さんの肌ツヤがいつも完璧なのは、スキンケアと食事管理のたまもの。
パックの種類で季節を分けてるって噂まであるらしい。
蓮君は「今日はチートデイだから!」なんて言っていたけれど、普段はおにぎりひとつでもカロリーを気にしているらしい。
真央君は、動画で見た筋膜リリースにハマっていて、朝晩のストレッチが日課。
というか、脚のむくみ取りグッズを持ち歩いているらしい。
遊里君に至っては、炭酸抜きのコーラをヘアミスト代わりにする裏ワザまで持っているそうで……

「信なんてヒアルやってっからな。内緒だけど」

え?
ヒアルって……ヒアルロン酸?
予防が大事って、え、美容皮膚科!?

私がマカロンに感動してる横で、みんなはそんなにストイックなんだ。

「ユーリもマオも、まだできること限られてっから……あいつら十八超えたらスゲー化けるぜ」

……アイドルって、すごい。

その一言じゃ足りないくらい。
目の前の甘いマカロンと、セナ君の手元を見比べていたら、
ふと、さっきのマカロンも、こうして私を驚かせたのも、
全部どこか計算ずくなのかもしれないと思ってしまった。

そう思った瞬間、マカロンの甘さがまた少し増した気がした。