スターライトパレード

「あとさー、やっぱ机と椅子! 長時間作業なら良いのいるだろ?」

机!? 椅子!?
というか、入ったこのお店って……

あ、また何か入れられてる!?
キーボードだけのつもりだったのに、ヘッドホン、スピーカー、マイク……
いろんなものが次々とカートへ入っていく。

「PCは持ってる?」
「あ、高校の入学祝いでMacのノートを……」
「だよな。お前使ってるのiPhoneだったし。じゃ、他もMacに合わせてもらうかー」

え?
合わせる?
予算五万円なんだけど……!

目をぐるぐるさせていたら、案内されたフロアにPCがずらりと並んでいた。
セナ君が店員さんと話すそばで、私はキーボードを見つけて試しに弾いてみる。

……音が伸びない。
軽すぎる。
跳ね返りがない。

これで本当に作曲できるのかな……?
いや、作曲はできるのかもしれないけど、少なくとも私が知ってる“ピアノを弾く感覚”とはまるで違う。
指を置いた瞬間に、なんとなく、これは違うって体が先に言っていた。

「奏! こっち!」

呼ばれて移動すると、そこには別のキーボードがあった。

「こっち! 弾いてみ?」

言われるままに鍵盤へ触れる。

その瞬間、リアルなグランドピアノの音が響いて、思わず鳥肌が立った。

「え……? なにこれ、凄い!!!」
「スゲーだろ? 音出してんのはコイツ」

セナ君が隣の四角い箱を、こつんと指で叩く。

「……この四角いのが、パソコン……?」
「そ。中身バケモンだぞ」

しゃがんで眺めていると、ふと疑問が浮かぶ。

「セナ君って詳しいんだね。PC好きなの?」
「……あー……まあそんな感じ」

少しだけ目をそらした彼が、店員さんを呼ぶ。

「じゃ、この辺一式も」

ん?
いっしき……?
一式って……一式……!?
これ、買うの!?!?

「セナ君!! ちょっと待って……!! ごめん、もっと早く言わなきゃだったんだけど……
私、曲でもらったお金で、キーボードだけ買うつもりで……」
「は?」
「予算は五万円なの……」
「五万って……おま……はぁーーーー」

大きなため息。
うぅ……呆れられた……

「ま、いいや。全部まとめてお会計お願いします」

は?
買えないって言ったのに!?
スタスタとレジに向かうセナ君を、私は慌てて追いかけた。

「セナ君……!」
「あのさ、オレが誘ったんだよな?」
「え……うん」
「連れて来たよな?」
「はい……」
「そんで、オレがお前に金出させるわけなくね?」
「え……?」
「ん、配送先書けよ」

そう言って、ボールペンを渡される。

「これは、オレらからミリオンのお祝い」

ミリオン……?