いつも通りの授業、いつも通りの放課後。
でも、今朝の出来事だけが、ずっと頭から離れない。
……あれ、通報した方がよかったんじゃ……
そんなことを考えながら学校を出ると、背後から聞き覚えのある声が飛んできた。
「みーっけ!!」
びくっとして振り向く。
そこには……今朝の彼が、また立っていた。
「やっぱりこの学校だったんだ。偏差値、けっこう高いんじゃねここ?」
「えっ、なにそれ。なんで知ってるの……まさか……ストーカー……!?」
「ち、ちげーよ!この辺、何回か来てるから制服見たことあっただけだっつーの!」
否定の勢いがすごい。
けれど、その必死さが逆にちょっとだけ怪しい。
彼はそう言うと、フードとサングラスを外した。
「オレ、スターライトパレードのセナ。知らない?」
スターライト……パレード?
なんか、聞いたことあるような……ないような……
耳なじみはある。でも、顔までは一致しない。
「知らない人とは話せないんだろ?これで話してくれんだろ?」
え、どういう意味……
いや、たしかに名前は名乗ってくれたけど、そういう問題なんだろうか。
「もしかして、本当にわかんない?もうデビューして3年なんだけどな……」
「芸能人、なんですか……?」
「まじか…………!!」
彼は頭を抱えて、その場にしゃがみ込んでしまった。
そんなにショック受けることある?
「ご、ごめんなさい。私、あまりテレビとか観なくて……」
「いや、うん!オレがまだまだってだけだよな……」
立ち上がった彼は、次の瞬間には勢いよく私に顔を近づけてきた。
思わず息をのむ。
近い。近い近い。
そのまま、まっすぐに言う。
「なぁ、あんたのピアノ聴いて、オレたちの曲を作ってほしいと思った!代表曲になるようなやつを!!」
まっすぐな目だった。
言葉も、びっくりするくらいまっすぐで、迷いがない。
その熱にあてられたみたいに、私の心臓がうるさいくらいに鳴っているのが、自分でもわかった。
……改めて見ると、あまりテレビを観ない私でもわかるくらいの、イケメンなんでは……?
あぁぁ……イケメンにときめいてる場合じゃない……
「……いつ私のピアノを聴いたのか、わからないけど……無理です。
そんな経験、ないし。私は……ちょっとピアノが弾けるだけです……」
これが、私の本音だった。
彼の言葉は、たしかにうれしかった。
うれしかった、けど。
そんなふうに期待を向けられる資格なんて、私にはない。
私はそっと目を伏せて、ぎゅっと瞳を閉じた。
思い出さないようにしていた、あの日の記憶が、ふいによみがえる。
「あれ?ひょっとしてスタライのセナ?」
すれ違いざまに聞こえた声で、私ははっと現実に引き戻された。
顔を上げると、彼はまっすぐこちらを見ていた。
その視線の強さに、心臓がひとつ大きく跳ねる。
気づけば、同じように下校中だった女子たちが、ざわざわと周りに集まりはじめていた。
さっきまでただの通学路だった場所が、一気に落ち着かない空気に変わっていく。
「ちょっと人、増えてきたな……また来るから、考えとけよ!」
それだけ言い残して、彼は嵐みたいに去っていった。
本当に、来たときも帰るときも、びっくりするくらい勝手だ。
でも、今朝の出来事だけが、ずっと頭から離れない。
……あれ、通報した方がよかったんじゃ……
そんなことを考えながら学校を出ると、背後から聞き覚えのある声が飛んできた。
「みーっけ!!」
びくっとして振り向く。
そこには……今朝の彼が、また立っていた。
「やっぱりこの学校だったんだ。偏差値、けっこう高いんじゃねここ?」
「えっ、なにそれ。なんで知ってるの……まさか……ストーカー……!?」
「ち、ちげーよ!この辺、何回か来てるから制服見たことあっただけだっつーの!」
否定の勢いがすごい。
けれど、その必死さが逆にちょっとだけ怪しい。
彼はそう言うと、フードとサングラスを外した。
「オレ、スターライトパレードのセナ。知らない?」
スターライト……パレード?
なんか、聞いたことあるような……ないような……
耳なじみはある。でも、顔までは一致しない。
「知らない人とは話せないんだろ?これで話してくれんだろ?」
え、どういう意味……
いや、たしかに名前は名乗ってくれたけど、そういう問題なんだろうか。
「もしかして、本当にわかんない?もうデビューして3年なんだけどな……」
「芸能人、なんですか……?」
「まじか…………!!」
彼は頭を抱えて、その場にしゃがみ込んでしまった。
そんなにショック受けることある?
「ご、ごめんなさい。私、あまりテレビとか観なくて……」
「いや、うん!オレがまだまだってだけだよな……」
立ち上がった彼は、次の瞬間には勢いよく私に顔を近づけてきた。
思わず息をのむ。
近い。近い近い。
そのまま、まっすぐに言う。
「なぁ、あんたのピアノ聴いて、オレたちの曲を作ってほしいと思った!代表曲になるようなやつを!!」
まっすぐな目だった。
言葉も、びっくりするくらいまっすぐで、迷いがない。
その熱にあてられたみたいに、私の心臓がうるさいくらいに鳴っているのが、自分でもわかった。
……改めて見ると、あまりテレビを観ない私でもわかるくらいの、イケメンなんでは……?
あぁぁ……イケメンにときめいてる場合じゃない……
「……いつ私のピアノを聴いたのか、わからないけど……無理です。
そんな経験、ないし。私は……ちょっとピアノが弾けるだけです……」
これが、私の本音だった。
彼の言葉は、たしかにうれしかった。
うれしかった、けど。
そんなふうに期待を向けられる資格なんて、私にはない。
私はそっと目を伏せて、ぎゅっと瞳を閉じた。
思い出さないようにしていた、あの日の記憶が、ふいによみがえる。
「あれ?ひょっとしてスタライのセナ?」
すれ違いざまに聞こえた声で、私ははっと現実に引き戻された。
顔を上げると、彼はまっすぐこちらを見ていた。
その視線の強さに、心臓がひとつ大きく跳ねる。
気づけば、同じように下校中だった女子たちが、ざわざわと周りに集まりはじめていた。
さっきまでただの通学路だった場所が、一気に落ち着かない空気に変わっていく。
「ちょっと人、増えてきたな……また来るから、考えとけよ!」
それだけ言い残して、彼は嵐みたいに去っていった。
本当に、来たときも帰るときも、びっくりするくらい勝手だ。
