「あれとー……これと……あ、あれも必要じゃね?」
「え? え?? あの……ちょ……」
セナ君が次々と店員さんに指示を出して、買い物カゴがどんどん商品で埋まっていく。
私は止めるタイミングを掴めないまま、ただ後ろをついていくばかりだった。
……なんでこんな事態になっているのかというと、三日前にさかのぼる。
「「「「「あれ生ピアノなの!!??」」」」」
「え? 何どうしたの?」
ゲームに集中していた遊里君が、思わずヘッドホンを外して私を見る。
うぅっ!?
突然イケメンたちに注目されて、思わず目を逸らしてしまう。
何度か会って、ビジュアルには慣れてきたと思っていたのに、いっせいに見つめられるとやっぱり眩しくてびっくりする。
慣れた、なんてたぶん気のせいだ。
こんな至近距離で全員分の顔面偏差値を浴びたら、普通に心臓がもたない。
「いや、最初に聴かされた『shooting stars』って、自分のピアノ録音した音やったんやって」
「は? え? ありえなくない?」
「だろ? スゲーだろ?」
「なんでセナがドヤるんだよ」
『shooting stars』の発売は急遽ねじ込まれたらしく、スケジュール調整がとても大変だったと、マネージャーの八神さんがぼやいていた。
次の曲は、椿さんが出演するドラマの主題歌で、すでに収録済み。
今後控えているシングルやアルバムのコンペは、私も参加できるかもしれないと教えてもらった。
次の曲がもう決まっていると聞いて、少しだけ残念だった。
でも、コンペに参加できるのはやっぱり嬉しい。
一曲だけで終わるんじゃなくて、また挑戦できる場所がある。
そう思えるだけで、胸の奥がじわっと熱くなる。
「アレンジやった人が言ってたよな。ピアノで再現できない部分があって、奏ちゃんの音源まんま使ったって」
「言ってた言ってた!!」
椿さんと信さんが声を揃える。
私も初めて完成版を聴いた時は「あれ?」と思ったけれど、技術の進歩ってすごいなあ、で納得していた。
「でもさ、冗談抜きで、そろそろ機材は必要になると思うよ?」
怜央さんが私に向かって穏やかに話す。
やさしい言い方なのに、たしかにその通りだと思わされる声だった。
『shooting stars』でもらった五万円……キーボードなら買えるかも。
そう頭の中で計算していたら、正面でコーヒーを飲んでいたセナ君が、スマホを見ながら私と怜央さんの間に割って入ってきた。
「あー、オレ三日後の土曜午前空いてる。学校休みだろ? 一緒に行ってやろうか?」
「え? 一緒に来てくれるの? 他のみんなは……?」
他のメンバーは取材や撮影、地方ロケで不在らしい。
「ボクも学校休みだし行けるよ~」
「ユーリはいつもオフは寝てんだろ」
貴重なオフを私に使ってくれるのは申し訳ない。
でも、せっかくの申し出を断るのも違う気がしてしまう。
「セナ君、お願いしてもいいかな?」
「ん」
小さく頷いた彼を見て、私もスマホに予定を入力した。
「珍しいな。ずいぶん余裕ないことするね」
「さー? なんのことか分かんねーな」
部屋を出ていくセナ君を見送ったあと、怜央さんが私にやさしく微笑む。
……何のことだったんだろう。
「え? え?? あの……ちょ……」
セナ君が次々と店員さんに指示を出して、買い物カゴがどんどん商品で埋まっていく。
私は止めるタイミングを掴めないまま、ただ後ろをついていくばかりだった。
……なんでこんな事態になっているのかというと、三日前にさかのぼる。
「「「「「あれ生ピアノなの!!??」」」」」
「え? 何どうしたの?」
ゲームに集中していた遊里君が、思わずヘッドホンを外して私を見る。
うぅっ!?
突然イケメンたちに注目されて、思わず目を逸らしてしまう。
何度か会って、ビジュアルには慣れてきたと思っていたのに、いっせいに見つめられるとやっぱり眩しくてびっくりする。
慣れた、なんてたぶん気のせいだ。
こんな至近距離で全員分の顔面偏差値を浴びたら、普通に心臓がもたない。
「いや、最初に聴かされた『shooting stars』って、自分のピアノ録音した音やったんやって」
「は? え? ありえなくない?」
「だろ? スゲーだろ?」
「なんでセナがドヤるんだよ」
『shooting stars』の発売は急遽ねじ込まれたらしく、スケジュール調整がとても大変だったと、マネージャーの八神さんがぼやいていた。
次の曲は、椿さんが出演するドラマの主題歌で、すでに収録済み。
今後控えているシングルやアルバムのコンペは、私も参加できるかもしれないと教えてもらった。
次の曲がもう決まっていると聞いて、少しだけ残念だった。
でも、コンペに参加できるのはやっぱり嬉しい。
一曲だけで終わるんじゃなくて、また挑戦できる場所がある。
そう思えるだけで、胸の奥がじわっと熱くなる。
「アレンジやった人が言ってたよな。ピアノで再現できない部分があって、奏ちゃんの音源まんま使ったって」
「言ってた言ってた!!」
椿さんと信さんが声を揃える。
私も初めて完成版を聴いた時は「あれ?」と思ったけれど、技術の進歩ってすごいなあ、で納得していた。
「でもさ、冗談抜きで、そろそろ機材は必要になると思うよ?」
怜央さんが私に向かって穏やかに話す。
やさしい言い方なのに、たしかにその通りだと思わされる声だった。
『shooting stars』でもらった五万円……キーボードなら買えるかも。
そう頭の中で計算していたら、正面でコーヒーを飲んでいたセナ君が、スマホを見ながら私と怜央さんの間に割って入ってきた。
「あー、オレ三日後の土曜午前空いてる。学校休みだろ? 一緒に行ってやろうか?」
「え? 一緒に来てくれるの? 他のみんなは……?」
他のメンバーは取材や撮影、地方ロケで不在らしい。
「ボクも学校休みだし行けるよ~」
「ユーリはいつもオフは寝てんだろ」
貴重なオフを私に使ってくれるのは申し訳ない。
でも、せっかくの申し出を断るのも違う気がしてしまう。
「セナ君、お願いしてもいいかな?」
「ん」
小さく頷いた彼を見て、私もスマホに予定を入力した。
「珍しいな。ずいぶん余裕ないことするね」
「さー? なんのことか分かんねーな」
部屋を出ていくセナ君を見送ったあと、怜央さんが私にやさしく微笑む。
……何のことだったんだろう。
