愛なんて要らないから



 皓太さんからの好意を感じとっていなかった訳ではないけど、好きだとはっきり言われたのはこれが初めてで。

 この辛かった数日を寄り添ってくれた彼からの気持ちは、正直にいえばすごく嬉しいと思う自分がいた。


「好き、なら……尚更一緒にいて辛くないですか?自分の気持ちが相手から返ってこないことが分かっているのに一緒にいるなんて……」

「俺は、別に見返りを求めてるわけじゃない。美羽ちゃんからの愛が欲しいなんて思っていないから」

「え……?」

「好きだから、美羽ちゃんには笑っていて欲しい。生きていて欲しい。幸せになって欲しい。ただそれだけなんだけど」

 皓太さんは、私の頭にポンッと手を乗せて、いつもみたいに撫でたと思ったら、そのままぐっと身体を引き寄せて優しく抱きしめてきた。


「その幸せな姿を俺が一番近くでみていたいって思っちゃったんだよね。愛なんて要らないから一緒に生きていきたい。俺が探していたのは、俺を頼ってくれる人なんかじゃなくて、一緒に生きていきたい人」

 同じように大切な人を亡くして、辛い時を乗り越えた皓太さんの「生きていきたい」という言葉は、私の心に深く響いた。


「私も皓太さんみたいに強く生きていけるでしょうか」

 皓太さんと一緒にいたら、私もこの人のように強い人間になれるだろうか。

 強く生きて、一緒に連れていけないと言った悠の想いを私は叶えてあげられるだろうか。


「それはわからない。けど、美羽ちゃんのことを幸せにする自信はある、かな」

 へらりと笑う皓太さん。でも、分かる。

 この人は本当に私を幸せにしてくれるんだろうなって、分かる。

 分かるからこそ……私は怖いんだ。