愛なんて要らないから



「俺が美羽ちゃんのそばにいたいって理由じゃダメ?ていうか、もう休みは取っちゃったから」

「……っ、」

 私がその申し出を断ることも、今は何を言っても頷かないことも皓太さんは絶対に分かっている。

 だから皓太さんは返事を待つことなく私の頭を軽く撫でると、「また明日来るね」と言って病室を出て行った。


 誰もいなくなった病室、肩の力が抜けた。

 皓太さんの優しさは、今の私には少し苦しい。

 甘えてはいけない人なのに、どうしようもなく甘えたくなってしまうから。寄りかかってしまいたくなるから。

 自分の弱い部分を皓太さんには簡単にみせてしまえることが、私には少し怖い……。


 ふと、バーで陽さんが、私が皓太さんを頼ることで皓太さんが救われると言っていたことを思い出した。

 そうだ。皓太さんの優しさは、私の為ではなく皓太さんが自分自身の心を救うため。

 それならこんな関係はお互いのために良くないし、これ以上、皓太さんのペースにのまれてしまったら、どんどん逃げられなくなってしまう。

 だから私は、もう彼に甘えたらダメだ。


 私は皓太さんに対する気持ちを振り払うように、手元のアルバムを強く抱きしめて目を閉じた。

 悠……はる……。

 私が今、隣にいて欲しいのは悠なんだよ。