愛なんて要らないから



「なんとなく、そんな気がしていました。真っ暗な闇の中で、悠の声がした気がしたんです」

 意識を失った後、暗い闇の中で悠の声が聞こえた。

 いくら周りを探しても、声がした方に手を伸ばしても、悠の名前を呼んでも……悠の姿を見つけることは出来なくて、私はもう二度と悠には会えないのだと思った。

「ごめん、美羽は連れて行けないよ、って。だから……」

 だから悠はもう、遠くにいってしまうのだと、なんとなくそんな気がしていた。


 こんな時でも、涙が出ないなんて……。

 やけに冷静なのは、悠が亡くなったということを心の奥ではまだ受け入れられていないのかもしれない。


「あの……萌ちゃん、は?」

「ナイフを待っていたから、銃刀法違反で捕まって今は警察にいる。あと悠くんの事故も、あの子が運転の妨害をして起きた可能性が出てきたみたいで、それについても罪に問われるかもしれないって」

「そんな……」

 萌ちゃんが原因で事故が起きたなんて、そんな酷い話、ある?

 たしかにあの時、病室で会った萌ちゃんは普通じゃなかったけど。だけど、だからって……。

 萌ちゃんの一方的な気持ちで、悠の命が奪われてしまったのだとしたら、そんなの簡単に許されることではない。