愛なんて要らないから



「皓太さんに誘われた時、私も彼氏と同じになれば気持ちがわかるかなって思ったんです」

 まだ悠と正式に別れたわけではない状態で他の人に抱かれたら、私と付き合っていても萌ちゃんを抱いていた悠の気持ちが少しは分かるかなって。


「でもやっぱり彼の気持ちがわからなくて。だったら同じじゃなくて、もっと最低な人間になったら彼のことを許せるのかなって。違う人と夜を過ごすことを選びました」

 だから私は毎晩違う人を求めて抱かれていた。

 誰かに寂しさを埋めて欲しい気持ちもあったし、自分が最低な人間になることで悠を許したかった。

 私じゃない、別の人を選ぶ悠を認めて、心から祝福できるように。私なんかを選ばなかった悠が正しいって、そう思えるように。


「彼氏とは、ちゃんと話をしなくていいの?」

「婚約者の人に、会いに来ないでと言われたので」

 今、悠がどんな状態なのかもわからない。

 あれから一度だけ萌ちゃんのSNSをのぞいた時、悠の意識はまだ戻っていないと書かれていた。


「それに、直接、振られるのが……怖いんです」

 一番は、悠に会うのが怖い。

 優しい悠しか知らない私は、会ったらどんな風に、どんな顔をした悠に振られるのか、考えただけで怖い。


「……美羽ちゃん、おいで」

 両手を広げて優しく笑う皓太さんの胸に、私は言われるままゆっくり身体を近づけると、ぎゅっと優しく抱きしめられた。