愛なんて要らないから



 飲食店で男の人が向かいに座っている写真には、

《 遠距離の彼女と会えなくて寂しいって。
だったら、わたしにすればいいのに 》

 ワイシャツ姿の男の人がベッドにうつ伏せで眠っている写真には、

《 激務おつかれさま〜!
私がたくさん癒してあげよっと 》

 誰かと手を繋いで夜道を歩く写真には、

《 この手が、小さい頃からずっと好き
やっぱり私には、この人しかいない 》


 どれもはっきりと悠の顔が写っているわけではないけれど、雰囲気や持ち物から悠のような気がしてモヤモヤは大きくなっていく。

 それでも悠だとわかる決定的なものはなかったから、私は萌ちゃんの相手が悠だと思わないようにしていた。


 悠はずっと仕事が忙しい様子だったけど、同じ目標に向かって頑張る同期として力をくれる存在であることに変わりはなかったし、仕事に対する姿勢に惹かれる部分も多かった。

 私は、悠のそういうところが好きだった。

 目標に向かって突き進むところが中学の頃から変わっていなくて、そんな悠だから好きになった私は、彼のことを信じて疑わなかった。