愛なんて要らないから



「美羽ちゃんさ、俺が初めてだったでしょ?」

「……っ、」

「そんな美羽ちゃんが、俺との夜を境に誰とでも寝るようになったのには、何か理由がある。違う?」


 何一つ間違っていない。皓太さんと身体を重ねたのが、私にとっての初めてだった。

 そんなことまで見透かされていたなんて、私は少しこの人のことを侮っていたみたい。

 失敗した。こんなにも真剣に他人と向き合うような人だと知っていたら、私はこの人と一夜を過ごしたりしなかったのに……。


「ここで一杯だけ飲んだら、少しドライブに付き合ってくれない?」

「……いや、私、帰ります」

「お願い。どうしても一緒に来て欲しい場所があるんだ」

 常に余裕をみせていた皓太さんが、急に泣きそうな笑みをみせた。

 そんな笑みを見てしまったら、皓太さんのことが気になってしまって、彼のお願いを断ることが出来ない。

 言葉に詰まって何も言えないでいると、皓太さんは椅子から立ち上がった。


「車を取りに行ってくるから。絶対に帰らないでね」

 そう言って皓太さんがバーを出ていくと、ちょうどドリンクが出てきた。