これは果たして恋なのか。

■■■




あっ、と声が落ちる。蒼がペットボトルのキャップを落とした。
カランカランと音がして、キャップは転がった。

「どうぞ」
「…ありがと」

校外学習の帰路。
キャップを拾って手渡してやると、蒼はどこか呆然と手元を見つめる。その横顔がやけに白くて、私は訝しげに思った。

「蒼?どしたの?」
蒼は私の声に我に返り、誤魔化すように笑みを作った。

「なんでもないよ」
「ならいいけど」

そのままキャップを閉じようとした蒼を、わたしは慌てて咎める。
「ちょっと!落ちたキャップ使わないでよ」
「じゃあどうすんの」

あっとわたしは思い至る。確かにそのままでは中身が零れてしまうだろう。
「じゃあ私の持ってるやつと交換しよう。こっちの中身が空だから。」
「はあ!!??」

途端、驚愕して叫んだ蒼に驚きつつ、わたしは眉を寄せた。
そんなにわたしのは嫌か。

「しょうがないでしょ!別にいいじゃない。姉弟なんだから」

この言葉に蒼はグッと言葉を詰まらせ、渋々キャップを受け取った。
「……どうも」
「はいはーい」
蒼はキャップを付けるのをなお渋っている。

ほほーん、とわたしは瞳を光らせる。
「なに、恥ずかしいの?思春期ですねえ」
「はっ?ちげーし!」
わたしの言葉にやけくそ気味でキャップを閉めた蒼に満足げに私は頷き、ちょうど着いた家の扉を開けた。

「「ただいま」」