これは果たして恋なのか。

「え?」

長谷川ららと一緒にアイスを選んでいる雛菊の横顔は、別に普通に見える。

でも何か、違和感があるような…。

「…あ」

気づいたか、とでもいうように、春夏がニヤリと笑った。

「完全に“王子様“でしょ、あれ。うちらにはもっと自然に笑うよあの子」

万人が見惚れるような美しく、洗練された微笑み。
完璧な笑顔に見せかけて、その顔は計算し尽くされたものだった。

春夏が言う通り、いつもの雛菊はあんな風に笑わない。

「…でも、うちらにも最初はあんな感じだった気がする」

思い出されるのは入学式。

“木内雛菊です。弓道部に入ろうと思っています。よろしくお願いします“

自己紹介の出番が回ってきて、今のように美しい笑みを浮かべて教卓の前に立った雛菊に、おそらくその場の全員が釘付けになった。

いつから、今みたいに笑ってくれるようになったんだけ。

「それこそが、うちらが雛菊の“特別”である証拠じゃん?」

春夏の言葉に、黙る。

そうかもしれない。そうだとしたら嬉しい。