【blue】

席に戻るとさゆが一人で居た。


「那智ー。何処に行ったの?」


「トイレ。財布は?」


「カウンターのお兄さんが保管しててくれた」


「まことは?」


「そのままカウンターで喋ってる」


さゆはドリンクをカラカラ回し始めた。


「はぁぁ、涼太どっか行っちゃたね」


「さっき下行ったよ」


「ふふ」


さゆが不気味に笑った。


「何?」


「最初。那智と涼太、二人にしてあげたんだよ。気付いた?」


さゆはあたしの指をつついた。


「あっ。そうだったんだ。気付かなかった」


「もー。やっぱり。まっ財布はほんとに忘れたんだけどね」