先輩の卒業♡

「西野ーーなんか、気まずいな」
先輩は頭を掻きながら言った。

私の名前を呼んでくれたのが嬉しかった。

覚えててくれたんだ。

挨拶くらいしかしないから、名前なんか覚えてもらえてないだろうって思ってたから。

いつもそっと、山下先輩を見つめるだけだった。

この低くて響く声も、もう聞けなくなる。

ーー何て切り出したらいいんだろう。
  
  写真一緒に撮ってください。

そう言いたい。
もう最後なんだから。
けど、勇気いるな。

「卒業おめでとうございます」
私は言った。

精一杯笑顔を作った。
最後は笑っていたくて。

「あ、ありがと」
先輩は苦笑いした。

「なんか、おめでとうって、しっくりこなくて……」
先輩のその言葉にはっとして、何か変なこと言ったっけ?と俯いた。

「もう今日で最後なんだよな。実感わかなくてさ」
先輩は大きく息を吸い込み伸びをして言った。