「花耶、それ何買ってきたの?」
購買から戻ると、私の席を占領していた親友の灘野瑠歌が手元の白いビニール袋を覗いてきた。
「カレーパン。2個買ってきたんだけど、瑠歌いる?」
「もわうえ」
卵焼きとブロッコリーで口を満たしながら、瑠歌が机に置いたビニール袋からカレーパンを取り出す。
「飲み込んでからしゃべりなよ」
カレーパンを包んでいた薄い包装を剥がすと、「改めてもらいまーす」と、瑠歌が手を合わせる。
「これ人気なのに2つも買えたんだ。めずらし」
弁当箱の蓋にカレーパンの衣をこぼしながら、小さく口を動かして言い放つ。
「珍しく人いなかったから」
「明日は雪降るね」
カレーパンをものすごい勢いで平らげながら瑠歌が言うのと同時に、がらりと教室後方の扉が開いた。
「冬弥ー」
去年同じクラスで、仲が良かった宮内冬弥が、声の主の方に振り向く。



