透明な雫の欠片を飲み込んだ

パシャ。

いつも通りの帰り道。

急にシャッターを切られた私は、それまであんなに笑っていたのが

噓のようにぱちくりと目と口を開けて止まってしまった。

「な、なに急に。」

「ん?たまには撮ってみようかなって。」

「橋口って景色しかとらないんじゃなかったの?」

「まあ景色が多いけど、人を撮らないわけじゃないよ。」

「そうなの?ふーん。まいいや、見せてよ。」

「えー、、やだ。」

「なんで?!え被写体私なのに見せてくれないの?けーちけーち。」

「村田ひどい顔してるから見せられないわ、これは。」

「なんてこと言うの、もう知らない。」

そう言って私はさっさと歩き出す。


「まって、ごめんって。」

笑いながら橋口が後ろから付いてくる足音がする。

橋口は、その写真を見ながら、

誰よりも優しい顔でいたことを、私は知らない。