来年も、君と桜を。

保健室を出て、並んで歩く。

沈黙が続く。

でも、不思議と気まずくはなかった。


校門が見えてきたところで、

「……あの」

小さく声をかける。


「名前、なんですか」


今更すぎる質問。

彼は少しだけ目を細めて、


「人に聞く前に、自分から言えよ」


そう返してきた。

一瞬ムッとしたけど、


「……白石です」


ちゃんと名乗る。


「……篠田」

短く答えた。


「篠田、蓮」

それだけ言って、前を向く。


「……蓮、でいい」

ぶっきらぼうに付け足す。


なにそれ。

急に距離近い。


でも、


「……じゃあ、蓮くん」

そう呼ぶと、

ほんの一瞬だけ、

彼の足が止まった。

と思った次には、もう歩き出していた。