来年も、君と桜を。

保健室の前で、足が止まる。

「……ここ」


わかってる。

でも、ドアを開けたくない。


「入りたくないなら帰るか?」

「え……」


意外な言葉に、思わず顔を上げた。


「どっちにしろ、その状態で教室戻んな」


ぶっきらぼうな言い方。

でも、その奥に少しだけ、気遣いが見えた。


「……なんで」

気づけば、口からこぼれていた。


「なんで、そこまでしてくれるんですか」


彼は一瞬黙って、

「別に」

そっけなく目を逸らす。


「ただ、目の前で倒れられんの迷惑なだけ」


それだけ言った。


(……嘘)

なんとなくわかる。

それだけじゃないって。

でも、それ以上は聞けなかった。