来年も、君と桜を。

力が抜けて、視界が大きく揺れる。


「ーーっ」


倒れる。

そう思った、そのとき。



ガシッ

強く腕を掴まれた。


「おい」

低い声。

気づいたときには、私は彼に支えられていた。


「大丈夫じゃねぇだろ」

さっきより少しだけ真剣な声。


「……っ、離、して」


咄嗟に腕を引こうとする。

でも、力が入らない。


「触らないで…!」


思ってもない強い言葉が出た。

彼の手が、ぴたりと止まる。

一瞬の沈黙。


ーーしまった。


そう思ったときにはもう遅くて、


「……めんどくせぇな」 


彼は小さく舌打ちをした。

それでも、手は離さなかった。



このときの私は、まだ知らなかった。

この出会いが、

自分の残り少ない時間を、全部ひっくり返してしまうことを。