夕焼けの空に、君を想う。

「いるんじゃない?それなりに大きいとこだし」
近くにあった地図をみると、ここから少し先に歩いたところに記されていた。
「案外近いみたい、行く?」
「うん、行く」

水族館の広くて静かな空間に、車椅子のタイヤが転がる音が響く。
「…静かだね」
私がそう言うと、桜陽は少し笑った。
「でも、落ち着く…」
「うん、確かにそれは思った。」
その横顔はどこか遠くて、でも、少し呼吸がしやすそうだった。
クラゲの水槽の前で車椅子を止める。
桜陽は、ゆらゆらと水槽内を漂うクラゲをじっと見つめたまま、目線を逸らさなかった。
少しの沈黙が流れた後、桜陽が口を開いた。
「…いいなぁ」
「どうして?」
咄嗟にそう答えてしまった。
桜陽は変わらず、真っ直ぐ見つめたまま続けた。