午後の静かな時間
いちか先生は別の子の対応で少し離れていた。
教室の端で、トワくんは一人で積み木を積んでいる。
その隣に、アイカ先生がしゃがんだ。
「ねえ、トワくん」
「なに?」
視線は積み木のまま。
「いちか先生のこと、好き?」
唐突な言葉。
トワくんの手が、少しだけ止まる。
「……うん」
小さく答える。
「どれくらい好き?」
少しだけ意地悪な聞き方。
でも声はやわらかい。
トワくんは少し考えて、
「……いっぱい」
と答えた。
「そっか」
アイカ先生は頷く。
「なんで好き?」
一生懸命考える。
言葉を探すみたいに。
「……だいじょうぶになるから」
その答えに、
アイカ先生は少しだけ笑った。
「そっか」
そう言ってから、
少しだけ声を落とす。
「それね」
一拍おいて、
「この人ならだいじょうぶって思える。それが“好き”なんだよ」
やわらかく言う。
「いちか先生といるときは、だいじょうぶって思うんでしょう?」
トワくんは少しだけ考えて、
「……うん」
小さく頷いた。
「それって」
さらに続ける。
「大事な“好き”だよ」
トワくんは何も言わない。
でもちゃんと聞いている。
「だから」
アイカ先生は少しだけ笑う。
「いっぱい好きでいい」
トワくんの手が、また動き出す。
さっきより少しだけ、軽く。
「……いちか先生の好きは」
ぽつりと呟く。
「うん?」
「……だいじょうぶだから、すきなんだ」
「そうだよ」
アイカ先生は、もう一度ゆっくり頷いた。
トワくんは、それ以上何も言わなかった。
でも、
その顔は少しだけすっきりしていた。
遠くで、
いちか先生の声が聞こえる。
トワくんはその方向を見て、
ほんの少しだけ笑った。
いちか先生は別の子の対応で少し離れていた。
教室の端で、トワくんは一人で積み木を積んでいる。
その隣に、アイカ先生がしゃがんだ。
「ねえ、トワくん」
「なに?」
視線は積み木のまま。
「いちか先生のこと、好き?」
唐突な言葉。
トワくんの手が、少しだけ止まる。
「……うん」
小さく答える。
「どれくらい好き?」
少しだけ意地悪な聞き方。
でも声はやわらかい。
トワくんは少し考えて、
「……いっぱい」
と答えた。
「そっか」
アイカ先生は頷く。
「なんで好き?」
一生懸命考える。
言葉を探すみたいに。
「……だいじょうぶになるから」
その答えに、
アイカ先生は少しだけ笑った。
「そっか」
そう言ってから、
少しだけ声を落とす。
「それね」
一拍おいて、
「この人ならだいじょうぶって思える。それが“好き”なんだよ」
やわらかく言う。
「いちか先生といるときは、だいじょうぶって思うんでしょう?」
トワくんは少しだけ考えて、
「……うん」
小さく頷いた。
「それって」
さらに続ける。
「大事な“好き”だよ」
トワくんは何も言わない。
でもちゃんと聞いている。
「だから」
アイカ先生は少しだけ笑う。
「いっぱい好きでいい」
トワくんの手が、また動き出す。
さっきより少しだけ、軽く。
「……いちか先生の好きは」
ぽつりと呟く。
「うん?」
「……だいじょうぶだから、すきなんだ」
「そうだよ」
アイカ先生は、もう一度ゆっくり頷いた。
トワくんは、それ以上何も言わなかった。
でも、
その顔は少しだけすっきりしていた。
遠くで、
いちか先生の声が聞こえる。
トワくんはその方向を見て、
ほんの少しだけ笑った。

