ツンデレ男児 ― 本音を出したら、ちゃんと届いた ―

日中

「トワくん、手伝って」

男の子がそう言った。

今までなら、

「いいよ」

と、トワくんなら言っていたと思う。

でも今日は、

「……今は無理」

少しだけ間があって、そう言った。
それは、本当に小さな変化だった。
私は思わず、目を見開く。
驚きはあったけど、すぐに微笑んだ。

「わかった。せんせーい!」

男の子はそう言って、こちらの方へ向かってきた。
トワくんは少しだけこっちを見て、

「言えたよ」

そう言っているみたいに思えた。
胸の奥が、少しだけあたたかくなる。

昼、外遊びの時間

ユナちゃんがまた転びそうになっていた。
トワくんはいつものように気づいて、一歩、踏み出す。ほんの一瞬止まったけど、少しだけゆっくり近づいた。

「……大丈夫?」

前より、少しだけ優しい声。
手を差し出す。 でも、無理に引っ張らない。
ユナちゃんは、トワくんの手を握りながら立った。

「ありがとう」

「……べつに」

そう言いながら、少しだけ照れたように目を逸らした。