招かれざる盾

「おいサツ共、動くな!!一歩でも近づいたら、こいつの命はねぇぞ!?」

中に入った瞬間、喉元に拳銃を突きつけられる。

どうやらあたしは今、銀行強盗かなにかを犯したらしい男に〝人質〟ってやつにされているらしい。

数人の警察たちは、手をあげたまま銅像のように固まっている。

まぁ当然か、人質を取った時の決まり文句を言われたんだし。

「おい女、お前も余計なことはするなよ?したらどうなるか……」

指をかけている拳銃の引き金に、少し力をかけた男。

そしてあたしの口から紡がれたのは、人質が言わない……というか言えないセリフ1位だった。

「フッ、どうせ撃てないくせに」

男はあたしの言葉を聞くなり、少し目を見開く。

喉元に突きつけられた銃口が、一瞬だけ震えた。

だがすぐに男は、顔をりんごみたいに真っ赤にしながら怒鳴った。

「な……っ、なんだと、お前!?バカにすんじゃねぇよ!!撃てないなんて勝手に言うんじゃねぇ!!」

だが、そんな言葉とは裏腹に引き金にかけた指に力をこめないのは……男自身が、1番分かっているだろう。

「だって……引き金を完全に引けば、あたしという盾は役立たずになる。結果、警察に捕まってぜーんぶ終わり」

「……っ、ふ、ふざ、けんなよ……っ!!捕まるくらい、な、なら……道連れに、してやる……っ!!」

「やめなよ。罪増えるだけ」

そう言うと、噛みまくっていた男の手の力が緩まった。

てかまず、拳銃の持ち方すらままなってない。

そんなガクガク震える手で構えてるなんて、"M"からしたら鼻で笑う気も失せるほどだ。

ちなみに警察たちは、口をあんぐりと開けて固まっている。

男は歯を食いしばった。

「クソ……っ、なんでそんなに落ち着いてやがる……っ」