今のクラスは僕が三組で、仁美と陽毬が二組で、唯奈が五組。仁美と陽毬は時々話しているのを見かける。でも、前みたいにわちゃわちゃと話していないのは、きっと僕のせいだと思うと辛くなる。
確かあの出来事があってから、僕と唯奈は中二の最初まで仲良かったけど、部活のことで色々と揉めて、話さなくなった。陽毬とは中二まで同じクラスだったし、中二の時は隣の席になったり、前の席になったりしたけど、結局話すことはあの日以来なかった。そして、仁美とはライブの時から話すようになった。
あの数ヶ月で繋がった仁美と陽毬と唯奈との絆はどの友達も深い。だから僕は前みたいになりたいんだ。だけど、でも…無理だよ。
僕は唯奈のおばあちゃんの苗字に崎が入ってて、陽毬のおばあちゃんの苗字には﨑が入ってることだって覚えてる。大か立なのかも全部。
「そろそろ授与式始まるし行こっか」
「だね。何か持ち物いるっけ?」
「ううん、いらない。私だけ連れてって」
「任せてー」
僕は仁美の手を引いて、体育館に向かった。最後の学校行事へと。
授与式が終わり、教室に戻り、最後のHRを受けた。泣いている子だっている。確かあの子は高校と同時に他県に転校するんだったような。普通に仲良い子と離れるのが寂しくて泣いてる子だってたくさんいる。
その後運動場に出て、在校生や保護者が作る花の道を通る。
この一日のために、何人もの人が色々なことをしてくれているんだなと思うと感謝でしかない。
ふと目が合ったのは、陽毬のお母さん。僕は気づかないふりをして、目を逸らして歩く。
その周りにはお父さんと弟もいた。陽毬と仁美とこの三人で初めて遊んだ時は、陽毬の家だったからよく覚えている。夕食も手作りで作ってくれて、クッキーを焼いてくれたりしたのを思い出す。
向こうは覚えてるかなんて分からないけど、でも自分にとっては陽毬と仁美との三人の大切な思い出だ。
仁美との思い出は少しずつ増えているけど、陽毬とはもう増えないと思うと辛くなる。
そういえば、僕の誕生日が確か一番仲の良い時期にあったからもらったけど、陽毬はもう少し後だったから渡せてないんだ。
去年、先輩がどれだけ仲が悪くなっても誕プレをもらったなら返す、という話を聞いて、真っ先に浮かんだのは陽毬だった。
僕の誕生日の少し後の仁美と唯奈には渡した気がする。だけど陽毬には...。
何かを返すのがきっかけでまた話すようになるとかないかな...。渡せるのなら、渡したい。
「ねえどうしたの?今日卒業式だって言うのに、なんか気分が今まで見た時よりも暗いよ?」
前を歩いていた仁美が振り返って僕にそう言う。そんなに顔や雰囲気に出ていたんだなと思うと少しだけドキリとする。
「そう?そんなことないよ。」
「まあ、なんとなく分かってるけど。簡単に言えば、仲直り、でしょ?」
気づかれてたんだ、と心の中で呟き、僕は小さく頷いた。
「やーぱり。」
「実はさ、話してないことが仁美にあってさ。」
「うん。何?」
僕が話そうと思った時に、いつの間にか終わっていた花の道の終着点にカメラマンがいて、今から写真撮影になった。
「後でちゃんと話してもいい?」
仁美は分かった、と言ってカメラを向く。
僕が話そうとしていたのは、もちろん唯奈と陽毬のことだった。
僕は仁美と同じように仲直りしようとしたことがあった。
時系列で並べば、陽毬と仁美と話さなくなったのは十二月。唯奈と話さなくなったのは翌年の四月、つまり中二になったばかり。その年の十月に仁美とLINEをして、そのまた翌年の四月に仁美とLINEした、つまり中三になったばかり。
僕は中二の十二月に陽毬と仲直りしようとしたし、中三の七月に仲直りしようとした。
陽毬が僕のインスタにフォローリクエストをくれたことがきっかけだった。陽毬と仲良い友達に聞いてみたら、僕のことをもう嫌いではないと言っていたらしい。
僕がその友達にそのことを聞いたことが本人に伝わり、前みたいに話そう、とDMが来た。
胸が飛び出るように僕は喜び、陽毬とDMをした。でも何日か続いた時に、その時同じクラスの女子が噂で陽毬が本当は仲良くしたくなかったと聞いた。だから僕は何かの罰ゲームでDMをしてるんだと思ってしまい、インスタから陽毬を消してしまった。その後それは嘘だったと知って後悔した。でも、勝手にインスタから消された陽毬は怒っているはず。だからどう弁解する勇気もなく、止まっていた。
唯奈とは、部活みんなで行く打ち上げを理由にLINEをしたことがきっかけだった。
そこに参加してもらって、もう一度話して仲直りしようと思った。でも唯奈は来なかった。多分今でも僕を恨んでるんだと思う。
唯奈と揉めた理由は虚言癖だったからだ。色々な嘘で色々な人を迷惑かけていた彼女を僕は許せなかった。特に部活の仲間に嘘をたくさんついていたから、先生を含めて大事にした。
最初は許せなくて、許せなかったけど、時間が経つにつれて、ちゃんと唯奈の意見を聞くべきだなと思うようになった。だけど唯奈は、僕が何も唯奈の話を聞かずに悪者に仕立て上げてしまったことを怒ってるんだと思う。きっと何かあったんだと思う。もしただの虚言癖なら逆ギレだけど。
確かあの出来事があってから、僕と唯奈は中二の最初まで仲良かったけど、部活のことで色々と揉めて、話さなくなった。陽毬とは中二まで同じクラスだったし、中二の時は隣の席になったり、前の席になったりしたけど、結局話すことはあの日以来なかった。そして、仁美とはライブの時から話すようになった。
あの数ヶ月で繋がった仁美と陽毬と唯奈との絆はどの友達も深い。だから僕は前みたいになりたいんだ。だけど、でも…無理だよ。
僕は唯奈のおばあちゃんの苗字に崎が入ってて、陽毬のおばあちゃんの苗字には﨑が入ってることだって覚えてる。大か立なのかも全部。
「そろそろ授与式始まるし行こっか」
「だね。何か持ち物いるっけ?」
「ううん、いらない。私だけ連れてって」
「任せてー」
僕は仁美の手を引いて、体育館に向かった。最後の学校行事へと。
授与式が終わり、教室に戻り、最後のHRを受けた。泣いている子だっている。確かあの子は高校と同時に他県に転校するんだったような。普通に仲良い子と離れるのが寂しくて泣いてる子だってたくさんいる。
その後運動場に出て、在校生や保護者が作る花の道を通る。
この一日のために、何人もの人が色々なことをしてくれているんだなと思うと感謝でしかない。
ふと目が合ったのは、陽毬のお母さん。僕は気づかないふりをして、目を逸らして歩く。
その周りにはお父さんと弟もいた。陽毬と仁美とこの三人で初めて遊んだ時は、陽毬の家だったからよく覚えている。夕食も手作りで作ってくれて、クッキーを焼いてくれたりしたのを思い出す。
向こうは覚えてるかなんて分からないけど、でも自分にとっては陽毬と仁美との三人の大切な思い出だ。
仁美との思い出は少しずつ増えているけど、陽毬とはもう増えないと思うと辛くなる。
そういえば、僕の誕生日が確か一番仲の良い時期にあったからもらったけど、陽毬はもう少し後だったから渡せてないんだ。
去年、先輩がどれだけ仲が悪くなっても誕プレをもらったなら返す、という話を聞いて、真っ先に浮かんだのは陽毬だった。
僕の誕生日の少し後の仁美と唯奈には渡した気がする。だけど陽毬には...。
何かを返すのがきっかけでまた話すようになるとかないかな...。渡せるのなら、渡したい。
「ねえどうしたの?今日卒業式だって言うのに、なんか気分が今まで見た時よりも暗いよ?」
前を歩いていた仁美が振り返って僕にそう言う。そんなに顔や雰囲気に出ていたんだなと思うと少しだけドキリとする。
「そう?そんなことないよ。」
「まあ、なんとなく分かってるけど。簡単に言えば、仲直り、でしょ?」
気づかれてたんだ、と心の中で呟き、僕は小さく頷いた。
「やーぱり。」
「実はさ、話してないことが仁美にあってさ。」
「うん。何?」
僕が話そうと思った時に、いつの間にか終わっていた花の道の終着点にカメラマンがいて、今から写真撮影になった。
「後でちゃんと話してもいい?」
仁美は分かった、と言ってカメラを向く。
僕が話そうとしていたのは、もちろん唯奈と陽毬のことだった。
僕は仁美と同じように仲直りしようとしたことがあった。
時系列で並べば、陽毬と仁美と話さなくなったのは十二月。唯奈と話さなくなったのは翌年の四月、つまり中二になったばかり。その年の十月に仁美とLINEをして、そのまた翌年の四月に仁美とLINEした、つまり中三になったばかり。
僕は中二の十二月に陽毬と仲直りしようとしたし、中三の七月に仲直りしようとした。
陽毬が僕のインスタにフォローリクエストをくれたことがきっかけだった。陽毬と仲良い友達に聞いてみたら、僕のことをもう嫌いではないと言っていたらしい。
僕がその友達にそのことを聞いたことが本人に伝わり、前みたいに話そう、とDMが来た。
胸が飛び出るように僕は喜び、陽毬とDMをした。でも何日か続いた時に、その時同じクラスの女子が噂で陽毬が本当は仲良くしたくなかったと聞いた。だから僕は何かの罰ゲームでDMをしてるんだと思ってしまい、インスタから陽毬を消してしまった。その後それは嘘だったと知って後悔した。でも、勝手にインスタから消された陽毬は怒っているはず。だからどう弁解する勇気もなく、止まっていた。
唯奈とは、部活みんなで行く打ち上げを理由にLINEをしたことがきっかけだった。
そこに参加してもらって、もう一度話して仲直りしようと思った。でも唯奈は来なかった。多分今でも僕を恨んでるんだと思う。
唯奈と揉めた理由は虚言癖だったからだ。色々な嘘で色々な人を迷惑かけていた彼女を僕は許せなかった。特に部活の仲間に嘘をたくさんついていたから、先生を含めて大事にした。
最初は許せなくて、許せなかったけど、時間が経つにつれて、ちゃんと唯奈の意見を聞くべきだなと思うようになった。だけど唯奈は、僕が何も唯奈の話を聞かずに悪者に仕立て上げてしまったことを怒ってるんだと思う。きっと何かあったんだと思う。もしただの虚言癖なら逆ギレだけど。



