交わらない2人は、恋をしている

 陽毬と話す機会が多くなったのは、席替えで隣になった時からだった。
 ある日の休憩時間、陽毬がこんな提案をした。
「ねえねえ、今度の日曜日さ、どっか行かない?」
「うん、行きたい!でも誰誘う?唯奈とか?」
「うーん、唯奈はいつも遊んでるから、仁美とかどう?」
 仁美の名前が出るとは思っていなかった。もし、遊べる機会があるなら。
「良いじゃん、誘ってみようよ。」
 次の休憩時間、ひとみと話すことが楽しみで授業にあまり集中できなかった。
 仁美の返事はYesだった。

 日曜日、待ち合わせは駅の改札前だった。
 一本早い電車に乗った僕は、スマホを見て2人を待っていた。
 しばらくして、後ろから2人が笑いながら歩いてきた。
「ごめんごめん、遅れたー」
 陽毬がそう言い、仁美は手を合わせた。
「全然全然、僕もさっき着いたとこ。」
「じゃあ良かった。まずは、お昼食べよっか。」
 陽毬と仁美が横に並び、僕はそのあとをついていった。

 食事が終わり、ショッピングモールをぶらぶらと歩いていた。
「ねえねえ、この服可愛くない?」
「うん!めっちゃ可愛い。おそろで買う?」
「え、それありだね。他のも見よ。」
「でしょ。うん、そしよ。」
 2人は楽しそうに話していた。その輪の中に入れず、僕は疎外感を感じてしまった。ほんとは参加するべきだった。なのにイヤホンを耳につけ、ただ2人を後ろからついていくだけの男になってしまった。

 僕は途中で2人が話していた内容を思い出した。
「ねえ、仁美ー唯奈のこと好き?私ちょっと苦手というか大嫌いなんだけど。」
「陽毬もなの?私も苦手。なんか自分勝手だよね。それに上から目線だし。」
「そう、ほんとそれだよね。幼馴染って言ったじゃん?だからまあ親同士も知り合いなんだけど、親も自分勝手って感じでさ。私の家族みんな唯奈の家族嫌いなんだよね。」
「そうなんだね。」