やがてプリンが完成すると、でき上がった芋料理の数々は国王夫妻にも試食してもらうことになった。
「なんと素晴らしい……どれも美味であるな」
とりわけ国王が気に入ったのは紅芋のプリンだった。滑らかでクリーミーな口溶けと、紅芋本来の優しい甘み。無心にスプーンを動かしていた国王のカップは、あっという間に空となった。
一方、王妃は真剣な面持ちでひとつひとつの味を確かめている様子だった。初めての料理を前にして、大きな商機の匂いを嗅ぎ取ったのである。
「パンケーキはランチメニューに採用できますし、紅芋をデザートに取り入れるのも斬新ですわね。南瓜やニンジンでも応用が効くのではないかしら。ポテトチップスはハーブソルトや粉チーズをかけても……いやだ、わたくしったら。つい夢中になってしまって」
はたと我に返り、王妃は気恥ずかしそうに笑った。
「いえ、お気に召したのであれば何よりです」
予想以上の賞賛を受け、エドガーは晴れやかな表情で一礼した。
「ねえ、サンジェスト。例のレシピ本、わたくしの分まで複製してくださらない?」
王妃が椅子から身を乗り出し、弾んだ声で持ちかける。
「わたくしのカフェで、是非お出ししたいと考えておりますの。原価も抑えられるし、特にポテトチップスは冷めても美味しくいただけますから、テイクアウトにも最適ですわ。その手軽さと美味しさの両立。これはひょっとすると、この国の食文化に大きな革命を起こすまたとない機会かもしれません。陛下もそう思いませんこと?」
「ん? あ、ああ。君がそう言うのであれば間違いなかろう」
妻の熱量に圧倒されながらも、国王はポテトチップス片手に頷いた。そして、穏やかな眼差しをロゼッタへと向けた。
「感謝するぞ、ロゼッタ。そなたのおかげで我が国の食卓はより豊かなものとなるだろう」
「……もったいないお言葉でございます」
視界が少し潤むのを感じながら、ロゼッタは深く頭を下げた。ふと隣を見れば、エドガーが誇らしげな、それでいてどこか優しい眼差しで自分を見守ってくれていた。
(私の力が、誰かの役に立っている)
古代文字を読めたところで何の役にも立たない。ずっとそう思っていたのに。
ようやく自分の居場所を見つけることができたのだと、ロゼッタの胸には確かな活力が湧き上がっていた。
(この調子で、どんどん翻訳を進めていきましょう)
俄然やる気に満ちた足取りで、ロゼッタは隠し部屋を訪れた。芋百花に翻訳を終えた印として、白いリボンのしおりを丁寧に挟んで棚へ収め、次の一冊を引き抜く。
(当時の政治情勢を記した本みたいね。これは少し翻訳に時間がかかりそうだわ)
難解な単語が多いほど、慎重な解読が求められる。ほんのわずかな誤訳が、まったく別の意味を生んでしまう場合があるのだ。
ロゼッタは本を抱えて隠し部屋を後にしようとして、ある書架の前でふと足を止めた。
視線の先には、先日見つけた例の書物がある。
翻訳は端から順に行う。エドガーにはそう指示されているのだが。
(ちょっとだけ……ちょっとだけなら……)
鋼のように強固な理性も、底知れぬ好奇心の前には敵わない。その書物を手に取り、小走りで部屋を後にする。
それからというもの、日々のノルマを順調にこなす一方で、ロゼッタは空いた時間でこっそりもう一冊の翻訳を進めるようになっていった。
◆◆◆
王都の街路樹が鮮やかな緑に染まり、日の光も力強さを増していく。
季節は初夏。ロゼッタがルミナリア王国に渡って早二ヶ月が経とうとしていた。
「それでは、いただきます」
今朝のロゼッタの朝食は、白芋のパンケーキだ。
芋百花のレシピは食堂でも好評で、すっかり看板メニューとして定着していた。甘いソースはもちろん、ベーコンや目玉焼きとも相性が抜群なのも人気の理由だった。
「ふふ。ロゼッタさん、そのパンケーキすっかりお気に入りですね」
向かいの席のミラベルは、そう言ってポテトサラダが溢れんばかりのサンドイッチを口いっぱいに詰め込んだ。食事をともに楽しんでいると、隣のテーブルから何やら話し声が聞こえてきた。
「……って話よ」
「えっ、嘘。信じられない」
「どうせ『面倒臭い』とかそんな理由じゃない? あそこの王妃様って相当なワガママ娘って噂だし」
「そんな人が国母だなんて、あの国の人たちも気の毒ね」
メイドたちの会話を聞きながら、ロゼッタは虚無の表情でパンケーキを口に含んだ。
「失礼します、エドガーさん。今回の本の翻訳が終わりました」
昼食を終えると、ロゼッタは成果が詰まったノートを抱えて執務室を訪れた。エドガーはちょうど休憩中だったようで、ローテーブルで静かにティーカップを傾けていた。
「お疲れ様。今回もかなりの大作だね」
「はい。ですが、クセのない読みやすい文章でしたから、スムーズに進めることができました」
ロゼッタは計十五冊にも及ぶノートを、エドガーの目の前にドサッと置いた。その衝撃で、ローテーブルがわずかに揺れる。
「本書においても農作物について詳しく解読されていますが、芋類に特化していた芋百花のように、こちらでは麦類を重点的に取り上げています」
「へぇ、芋の次は麦というわけか」
ティーカップをソーサーに戻すと、エドガーはまじまじとノートの山を見つめた。ロゼッタは一番上のノートを開くと、付箋を貼っておいたページをエドガーの前に差し出した。
「ここに、寒冷期でも栽培を可能にする作物の勾配方法について記述があります」
「これは……まさかこの時代に、これほど高度な栽培技術が確立されていたなんて」
エドガーは目を大きく見張り、弾かれたようにロゼッタからノートを受け取った。いつも冷静な彼がこれほどまでに食いつくのには、深い理由があった。
(この国では以前、寒冷国向けに寒さに強い品種を作ろうとして何度も挑戦したけど、結局上手くいかなかったのよね)
エリアン王城にいた頃、ロゼッタはその噂を耳にしたことがあった。
長年の難題を解く鍵が、この古書に潜んでいるかもしれない。エドガーは焦燥に駆られたような表情で、次々とページをめくっていく。
半分ほど読み進めたところで、エドガーの手がぴたりと止まった。
「なるほど……以前の開発が失敗に終わったのは、交配させる品種の選択そのものが根本的に誤っていたからか。我々は寒さに耐える力だけを重視していたが、この書物では生命力の強い野生種をベースにしている……」
ぶつぶつと独り言を呟くエドガーの口角は、うっすらと弧を描いている。楽しげに物語を語る時の彼とは違う興奮に満ちた表情にふとした色気を感じてしまい、ロゼッタはドキリと心臓が跳ねるのを感じた。
「この品種の開発に成功すれば、どの国であっても、たとえ冬の間であっても、安定した収穫が見込める。特に自給率の低さに苦しむ寒冷国にとっては、大きな恩恵となるはずだ」
「はい。私がこれまで翻訳してきた古書の中でも、一番の発見だと思います」
「ああ、確かにその通りだ」
ロゼッタの言葉に頷きながらも、エドガーは苦い顔で再びノートに視線を落とす。
「だが、問題はどうやって完成させるかだ」
「……実は私も翻訳しながら、そのことがずっと引っかかっていたんです」
「現在のルミナリア王国の温暖な気候下では、寒冷地用作物の特性を活かすことは難しい。かといって、未完成の理論をそのまま他国へ渡すわけにもいかない。確実な保証がない以上、もし失敗すれば我が国の信用に関わるからね。まずはこの国のどこかで、寒冷地に近い環境を再現する手段を考えないと……」
そこまで言い終えてから、エドガーは我に返ったようにロゼッタへ優しく微笑みかけた。
「まあ、ここから先は僕たちの仕事だ。君のおかげで大きな一歩を踏み出せたんだから、負けずに知恵を絞らないとね。一段落ついたのだし、君は少し休むといい」
「お気遣いありがとうございます。もし何かあったら、いつでも呼んでくださいね」
エドガーの厚意に甘え、ロゼッタは小さくお辞儀をして執務室を後にする。けれど、その表情は暗く沈んでいた。
開発に必要な条件。それを解決する方法を、ロゼッタは知っている。けれど、あの場ですぐに口に出す勇気はなかったのだ。
(どうしよう……)
打ち明けるべきか、黙っておくべきか。思わぬ形で二択を迫られて、ロゼッタは数日間悩み続けていた。おかげで翻訳作業はちっとも捗らず、いつまで経ってもノートの余白が埋まらない。
気分転換に図書室を歩き回っていると、壁に張られた大陸の地図が視界に入った。
(こうして見ると、エリアン王国って面積だけは広いけど、なんというか……パッとしないのよね)
目立った特産物もなく、国力もそこそこ。図体ばかりが大きくて、これといって秀でたところのない地味な国。 祖国にそんな辛辣な評価を下しつつ、ロゼッタは地図の上部へ視線を移す。
北方に点在する寒冷諸国。この一帯は資源が乏しく、作物も満足に育たない。故にルミナリア王国などからの輸入が貴重な生命線となっている。
けれど、そんな不安定な現状に不安を抱く民は多いと聞く。何より他国に依存しきりでは、国として自立することなどできないだろう。
(こんな大事なことで、いつまでも迷ってなんかいられないわ)
心の中でぐらぐらと揺れていた天秤が、音を立てて一方に傾く。大きな決意を胸に、ロゼッタは図書室を飛び出す。そして国王への謁見を取り次いでほしいと、エドガーに願い出たのだった。
「なんと素晴らしい……どれも美味であるな」
とりわけ国王が気に入ったのは紅芋のプリンだった。滑らかでクリーミーな口溶けと、紅芋本来の優しい甘み。無心にスプーンを動かしていた国王のカップは、あっという間に空となった。
一方、王妃は真剣な面持ちでひとつひとつの味を確かめている様子だった。初めての料理を前にして、大きな商機の匂いを嗅ぎ取ったのである。
「パンケーキはランチメニューに採用できますし、紅芋をデザートに取り入れるのも斬新ですわね。南瓜やニンジンでも応用が効くのではないかしら。ポテトチップスはハーブソルトや粉チーズをかけても……いやだ、わたくしったら。つい夢中になってしまって」
はたと我に返り、王妃は気恥ずかしそうに笑った。
「いえ、お気に召したのであれば何よりです」
予想以上の賞賛を受け、エドガーは晴れやかな表情で一礼した。
「ねえ、サンジェスト。例のレシピ本、わたくしの分まで複製してくださらない?」
王妃が椅子から身を乗り出し、弾んだ声で持ちかける。
「わたくしのカフェで、是非お出ししたいと考えておりますの。原価も抑えられるし、特にポテトチップスは冷めても美味しくいただけますから、テイクアウトにも最適ですわ。その手軽さと美味しさの両立。これはひょっとすると、この国の食文化に大きな革命を起こすまたとない機会かもしれません。陛下もそう思いませんこと?」
「ん? あ、ああ。君がそう言うのであれば間違いなかろう」
妻の熱量に圧倒されながらも、国王はポテトチップス片手に頷いた。そして、穏やかな眼差しをロゼッタへと向けた。
「感謝するぞ、ロゼッタ。そなたのおかげで我が国の食卓はより豊かなものとなるだろう」
「……もったいないお言葉でございます」
視界が少し潤むのを感じながら、ロゼッタは深く頭を下げた。ふと隣を見れば、エドガーが誇らしげな、それでいてどこか優しい眼差しで自分を見守ってくれていた。
(私の力が、誰かの役に立っている)
古代文字を読めたところで何の役にも立たない。ずっとそう思っていたのに。
ようやく自分の居場所を見つけることができたのだと、ロゼッタの胸には確かな活力が湧き上がっていた。
(この調子で、どんどん翻訳を進めていきましょう)
俄然やる気に満ちた足取りで、ロゼッタは隠し部屋を訪れた。芋百花に翻訳を終えた印として、白いリボンのしおりを丁寧に挟んで棚へ収め、次の一冊を引き抜く。
(当時の政治情勢を記した本みたいね。これは少し翻訳に時間がかかりそうだわ)
難解な単語が多いほど、慎重な解読が求められる。ほんのわずかな誤訳が、まったく別の意味を生んでしまう場合があるのだ。
ロゼッタは本を抱えて隠し部屋を後にしようとして、ある書架の前でふと足を止めた。
視線の先には、先日見つけた例の書物がある。
翻訳は端から順に行う。エドガーにはそう指示されているのだが。
(ちょっとだけ……ちょっとだけなら……)
鋼のように強固な理性も、底知れぬ好奇心の前には敵わない。その書物を手に取り、小走りで部屋を後にする。
それからというもの、日々のノルマを順調にこなす一方で、ロゼッタは空いた時間でこっそりもう一冊の翻訳を進めるようになっていった。
◆◆◆
王都の街路樹が鮮やかな緑に染まり、日の光も力強さを増していく。
季節は初夏。ロゼッタがルミナリア王国に渡って早二ヶ月が経とうとしていた。
「それでは、いただきます」
今朝のロゼッタの朝食は、白芋のパンケーキだ。
芋百花のレシピは食堂でも好評で、すっかり看板メニューとして定着していた。甘いソースはもちろん、ベーコンや目玉焼きとも相性が抜群なのも人気の理由だった。
「ふふ。ロゼッタさん、そのパンケーキすっかりお気に入りですね」
向かいの席のミラベルは、そう言ってポテトサラダが溢れんばかりのサンドイッチを口いっぱいに詰め込んだ。食事をともに楽しんでいると、隣のテーブルから何やら話し声が聞こえてきた。
「……って話よ」
「えっ、嘘。信じられない」
「どうせ『面倒臭い』とかそんな理由じゃない? あそこの王妃様って相当なワガママ娘って噂だし」
「そんな人が国母だなんて、あの国の人たちも気の毒ね」
メイドたちの会話を聞きながら、ロゼッタは虚無の表情でパンケーキを口に含んだ。
「失礼します、エドガーさん。今回の本の翻訳が終わりました」
昼食を終えると、ロゼッタは成果が詰まったノートを抱えて執務室を訪れた。エドガーはちょうど休憩中だったようで、ローテーブルで静かにティーカップを傾けていた。
「お疲れ様。今回もかなりの大作だね」
「はい。ですが、クセのない読みやすい文章でしたから、スムーズに進めることができました」
ロゼッタは計十五冊にも及ぶノートを、エドガーの目の前にドサッと置いた。その衝撃で、ローテーブルがわずかに揺れる。
「本書においても農作物について詳しく解読されていますが、芋類に特化していた芋百花のように、こちらでは麦類を重点的に取り上げています」
「へぇ、芋の次は麦というわけか」
ティーカップをソーサーに戻すと、エドガーはまじまじとノートの山を見つめた。ロゼッタは一番上のノートを開くと、付箋を貼っておいたページをエドガーの前に差し出した。
「ここに、寒冷期でも栽培を可能にする作物の勾配方法について記述があります」
「これは……まさかこの時代に、これほど高度な栽培技術が確立されていたなんて」
エドガーは目を大きく見張り、弾かれたようにロゼッタからノートを受け取った。いつも冷静な彼がこれほどまでに食いつくのには、深い理由があった。
(この国では以前、寒冷国向けに寒さに強い品種を作ろうとして何度も挑戦したけど、結局上手くいかなかったのよね)
エリアン王城にいた頃、ロゼッタはその噂を耳にしたことがあった。
長年の難題を解く鍵が、この古書に潜んでいるかもしれない。エドガーは焦燥に駆られたような表情で、次々とページをめくっていく。
半分ほど読み進めたところで、エドガーの手がぴたりと止まった。
「なるほど……以前の開発が失敗に終わったのは、交配させる品種の選択そのものが根本的に誤っていたからか。我々は寒さに耐える力だけを重視していたが、この書物では生命力の強い野生種をベースにしている……」
ぶつぶつと独り言を呟くエドガーの口角は、うっすらと弧を描いている。楽しげに物語を語る時の彼とは違う興奮に満ちた表情にふとした色気を感じてしまい、ロゼッタはドキリと心臓が跳ねるのを感じた。
「この品種の開発に成功すれば、どの国であっても、たとえ冬の間であっても、安定した収穫が見込める。特に自給率の低さに苦しむ寒冷国にとっては、大きな恩恵となるはずだ」
「はい。私がこれまで翻訳してきた古書の中でも、一番の発見だと思います」
「ああ、確かにその通りだ」
ロゼッタの言葉に頷きながらも、エドガーは苦い顔で再びノートに視線を落とす。
「だが、問題はどうやって完成させるかだ」
「……実は私も翻訳しながら、そのことがずっと引っかかっていたんです」
「現在のルミナリア王国の温暖な気候下では、寒冷地用作物の特性を活かすことは難しい。かといって、未完成の理論をそのまま他国へ渡すわけにもいかない。確実な保証がない以上、もし失敗すれば我が国の信用に関わるからね。まずはこの国のどこかで、寒冷地に近い環境を再現する手段を考えないと……」
そこまで言い終えてから、エドガーは我に返ったようにロゼッタへ優しく微笑みかけた。
「まあ、ここから先は僕たちの仕事だ。君のおかげで大きな一歩を踏み出せたんだから、負けずに知恵を絞らないとね。一段落ついたのだし、君は少し休むといい」
「お気遣いありがとうございます。もし何かあったら、いつでも呼んでくださいね」
エドガーの厚意に甘え、ロゼッタは小さくお辞儀をして執務室を後にする。けれど、その表情は暗く沈んでいた。
開発に必要な条件。それを解決する方法を、ロゼッタは知っている。けれど、あの場ですぐに口に出す勇気はなかったのだ。
(どうしよう……)
打ち明けるべきか、黙っておくべきか。思わぬ形で二択を迫られて、ロゼッタは数日間悩み続けていた。おかげで翻訳作業はちっとも捗らず、いつまで経ってもノートの余白が埋まらない。
気分転換に図書室を歩き回っていると、壁に張られた大陸の地図が視界に入った。
(こうして見ると、エリアン王国って面積だけは広いけど、なんというか……パッとしないのよね)
目立った特産物もなく、国力もそこそこ。図体ばかりが大きくて、これといって秀でたところのない地味な国。 祖国にそんな辛辣な評価を下しつつ、ロゼッタは地図の上部へ視線を移す。
北方に点在する寒冷諸国。この一帯は資源が乏しく、作物も満足に育たない。故にルミナリア王国などからの輸入が貴重な生命線となっている。
けれど、そんな不安定な現状に不安を抱く民は多いと聞く。何より他国に依存しきりでは、国として自立することなどできないだろう。
(こんな大事なことで、いつまでも迷ってなんかいられないわ)
心の中でぐらぐらと揺れていた天秤が、音を立てて一方に傾く。大きな決意を胸に、ロゼッタは図書室を飛び出す。そして国王への謁見を取り次いでほしいと、エドガーに願い出たのだった。
