「……疲れたか?」
「……ちょっとだけ」
正直に答えると、
「お疲れ様。本当、よく頑張ったよ」
優しい声が落ちてくる。
それだけで、胸がじんわり熱くなる。
運転する先生も、カッコよくて尊い。
ずっと見ていたい。
赤信号で、車が止まる。
静かな夜の交差点。
ふと、先生が私を見た。
「……なに?」
先生が少しだけ笑う。
「……見すぎ」
「……だって」
言いかけて、止まる。
好きって、言いそうになる。
その瞬間——
「奈桜」
名前を呼ばれる。
低くて、近い声。
ドクン、と心臓が跳ねる。
そんな目で見られたら、恥ずかしくて溶けてしまいそう…
「……っ」
逸らせない。
そのまま——
先生の手が、そっと頬に触れた。
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