先生の指が、頬に触れる。

撫でるみたいに、ゆっくりと。



「……赤い」



ぽつりと呟く声。

恥ずかしさで、余計に熱くなる。



「……先生のせいです」

思わず言い返すと、

「だろうな」


って、少しだけ意地悪に笑った。

距離が、また少し近くなる。

もう、息が触れそうなくらい。


「……危ないな」



低く呟く声。

でも、その手は離れない。

むしろ——

そっと、肩を引き寄せられる。



「……っ」

軽く触れるだけの距離。

抱きしめるほどじゃないのに、

逃げられない。

逃げたくない。

ドンッ

大きな花火が上がる。

その音に紛れるみたいに——



「……もう少しだけ」

先生が、小さく言う。

「……はい」

頷くと、

先生の手が、ほんの少しだけ強くなる。

そのまま、肩に触れていた手が——

ゆっくり背中へと回る。

ぎゅっと抱きしめるわけじゃない。

でも、確かに囲われてる。

守られてるみたいに。


「……奈桜」


すぐ近くで、名前を呼ばれる。

それだけで、胸がいっぱいになる。

返事もできないまま、

そっと先生のシャツを掴む。

離れたくないって、無意識に。

先生は何も言わない。

ただ、少しだけ力を込めてくる。


花火が、何度も夜空に咲く。

一瞬で消える光みたいに、

この時間もきっと、終わる。

それでも——

今だけは。

このままでいいって、思ってしまった。


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