午後。

忙しさはピークを迎えていた。


「綾瀬さんこの代えどこ!?」

「今持っていきます!」

階段を駆け上がる。

足が重く、息が上がる。

なんだか、頭も回らない。


「……っ、」

足が止まりそうになる。

その時——

「おい」

腕を軽く引かれる。

「一回休め」

先生だった。

「でも、まだ——」

言いかけると、

「いいから」

少しだけ強い声。

逆らえない。

そのまま、人の少ない廊下の端まで連れて行かれる。突き当たりは暗幕で隠されているけれど、使われていない準備室だ。

「……顔、真っ赤」

ふっと笑われる。

恥ずかしいのか、暑いのか、分からない。

「大丈夫です」

ちょっとムスッとしてそう言っても、

「大丈夫じゃない顔してる」

って、すぐに見抜かれる。

ずるい。

「水、飲め」

差し出されたペットボトル。


「……ありがとうございます」

受け取って、一口飲む。

冷たい。

体に染みる。
あぁ、私忙しすぎて何も飲んでなかった…


「ちょっとは落ち着いたか?」

「……はい」

頷くと、先生は少しだけ安心したように息を吐いた。

その瞬間——

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